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箱根の温泉宿選びが、わたしたちの中でこの数年で確実に変わりました。
「温泉さえ良ければ満足」だった頃から、「ラウンジで過ごす時間も含めて宿を選ぶ」時代へ。最初は「ラウンジって本当に必要?」と半信半疑だったのですが、一度ちゃんと体験してから完全に価値観が変わりました。湯めぐりの合間にお茶を飲んだり、夕食前にウイスキーを一杯やったり。あの「何もしない時間」こそが、滞在の質を決める。今ではそう確信しています。
今回は、わたしたちが箱根で泊まったり訪ねたりした温泉宿の中から、ラウンジが本当に充実していて、大人ふたりの滞在を演出してくれる5軒をまとめます(情報は2026年5月時点)。
こんなふたりにおすすめ
- 箱根の温泉宿で、湯めぐりだけでなくラウンジも楽しみたい
- 記念日や節目の旅で、ふたりだけの静かな時間を過ごしたい
- 客室温泉付きで、他人を気にせず過ごせる宿を探している
1. 強羅花壇|旧宮家別邸の品格と、大文字山を望むラウンジ「花影」
一言で言うと、結婚記念日のために生まれてきたような宿だった。
強羅花壇は、1930年に閑院宮載仁親王の別邸として建てられ、1948年に旅館として開業した、Relais & Châteaux加盟の名門。神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300。箱根登山鉄道「強羅駅」から徒歩3分という近さなのに、門をくぐった瞬間、別世界の静けさに包まれます。
3,000坪の庭園と、ラウンジ「花影」
到着してまず案内されたのが、ラウンジ「花影」。カフェ&バーを兼ねたソファ席に腰を下ろした瞬間、窓いっぱいに広がる大文字山の眺めに、夫と思わず「これは…」と顔を見合わせました。低めのソファ、控えめな照明、グラスが触れるかすかな音。ここで過ごす時間が、滞在のリズムを決めます。
シフォンケーキセットをいただきながら、夫はチェックイン早々に「今日はもうここから動かないかも」と本気で言っていました。実際、夕食までの3時間、わたしたちは温泉と「花影」を行ったり来たりして過ごしました。
自家源泉「強羅花壇の湯」
温泉は自家源泉3本を持つ「強羅花壇の湯」、弱アルカリ性単純温泉。大浴場と露天風呂のほか、客室露天風呂付きプランもあり、わたしたちはこのプランを選びました。湯はやわらかく、肌にすっと入っていく感じ。
京懐石の懐石「花壇」
夕食は懐石料理「花壇」、朝食は和食京懐石風。一品一品の出汁の繊細さに、夫が「家でこの味を出すのは無理だ」とため息。チェックインは15:00、アウトは11:00。客室は全41室。
正直な気になった点
料金は2名1泊2食税込で153,700〜252,700円。気軽な週末旅行というより、節目の旅・記念日の旅として組み込みたい価格帯です。わたしたちも結婚記念日に思い切って予約しました。
予約はハイクラス特化の一休.comでプランを比較するのが鉄板です。
2. 箱根吟遊|全室露天風呂付き、5階「吟遊詩人」ラウンジから箱根連山一望
強羅花壇とはまた違う「景色とお湯」中心のラウンジ宿が、箱根吟遊。神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下100-1。強羅ではなく宮ノ下にあるので、ここは予約時に間違えやすいポイントです。箱根登山鉄道「宮ノ下駅」から徒歩3分。
崖の上の宿、5階の「吟遊詩人」ラウンジ
客室20室すべてに露天風呂が付いた、早川渓谷を見下ろす崖の上の宿。チェックイン時のウェルカムドリンクから、もう「景色を売りにしている宿」だと伝わってきます。
5階のラウンジ「吟遊詩人」はガーデンラウンジを含めて14:00〜24:00、展望バーカウンターは7:30〜22:00。日本酒、ウイスキー、ワイン、カクテルが揃っていて、夫はチェックイン後すぐにバーカウンターでウイスキーを注文。「窓の向こうで山が暮れていく」と言いながら、わたしと話すこともなく1時間ほどグラスを傾けていました。
インフィニティ露天「月代」「月音」
箱根吟遊の代名詞といえばインフィニティ露天風呂。「月代」「月音」と名付けられた男女入替制の露天は、低温サウナや石風呂も併設。湯と空が一直線に繋がる設計で、まるで山に浮かんでいるような感覚があります。
泉質はナトリウム塩化物泉。別棟のGinyu Spaにも温泉露天風呂があり、湯めぐりだけで半日が溶けます。夫は到着初日にインフィニティ露天に2回、寝る前に1回、朝にもう1回と、合計4回入浴。「これがあるなら他は何もいらない」とまで言っていました。
朝夕とも部屋食
食事は月替わりの懐石料理。朝夕ともすべて部屋食で、各客室にダイニングルームが設けられています。「人と会わずに食事できる」という体験は、想像以上に夫婦の時間に集中できる仕組みでした。
料金は2名1泊2食税込で84,700〜108,900円。インフィニティ露天と全室露天風呂付きで考えると、納得感のある価格帯です。チェックインは15:00、アウトは11:00。
3. はつはな|フリードリンク制ラウンジとライブラリーで「気軽な贅沢」
「ラウンジは敷居が高そう」というイメージを覆してくれたのが、箱根湯本のホテル はつはな。神奈川県足柄下郡箱根町須雲川20-1。箱根登山鉄道「箱根湯本駅」から送迎バスで約10分、湯坂山と須雲川に囲まれた静かな立地です。
2022年9月リニューアルの新しい空気
2022年9月にリニューアルされた館内は、35室の全室温泉露天風呂付き。落ち着いた木の質感を活かした、最近の宿らしい引き算の美学があります。
ラウンジが「フリードリンク制」
はつはなの最大の特徴は、ラウンジが完全なフリードリンク制であること。営業は10:00〜19:00。紅茶、ハーブティー、ビール、ワイン、ロングドリンクすべてセルフで、誰の目も気にせず好きなだけ飲めます。
これがびっくりするくらい解放的で、わたしたちは初日から3回ラウンジに通いました。夫は昼にビール、夕方にワイン、夜にハーブティー。わたしは「とにかく試したい」と紅茶のフレーバーを片っ端からトライしました。
ライブラリーコーナーで本を借りる
ラウンジ併設のライブラリーコーナーで本を選んで、客室やラウンジで読めるのも嬉しいポイント。わたしは旅のエッセイを、夫は写真集を借りて、ラウンジのソファで2時間ほど無言で読書。「会話がなくても気まずくない時間」って、夫婦旅の最高の贅沢だと思います。
大浴場2つと貸切風呂4つ
温泉は全客室の自家源泉露天風呂のほか、大浴場が2つ、貸切風呂が4つ。湯めぐりに困らない構成です。食事はモダン懐石、朝食はダイニングで。料金は2名1泊2食税込で約11万円〜。
予約は一休.comでラウンジ付きプランを比較するのがおすすめです。
4. 箱根強羅 白檀|16室の小規模感と、香袋作り体験
「ラウンジで他のお客さんに気を遣いたくない」というふたりに、ぜひ知ってほしいのが源泉懐石 箱根強羅「白檀」。神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平1297番5。「強羅」と名前に付きますが、実際の住所は二ノ平地区。箱根登山鉄道「小涌谷駅」からタクシーで約5分(送迎あり)です。
3,700坪の雑木林の中、たった16室
2016年7月20日開業。約3,700坪の雑木林の中に、たった16室だけ。全室源泉掛け流し露天風呂付き。この規模感は、箱根の中でもかなり貴重です。チェックインしてからチェックアウトまで、館内で他のお客さんとほぼすれ違いませんでした。
ロビーラウンジに駄菓子の缶
白檀のロビーラウンジは、コーヒー、紅茶、ハーブティーが無料で飲めます。さらに面白いのが、ロビーに駄菓子の缶が置かれていること。高級宿のラウンジで駄菓子を摘まむ、このギャップに夫と思わず笑ってしまいました。「ふっと肩の力を抜いてください」というメッセージが伝わってくる演出です。
白檀の香袋作り体験
白檀の名物といえば、宿名にもなっている白檀の香り袋を作る体験サービス。木のチップを選んで、自分だけの香袋を仕立てます。夫はこういう体験に最初しぶしぶ参加するタイプなのですが、できあがった袋を持って帰る道中、何度も鼻に近づけていました(笑)。
ライブラリーロビーや、ミキモトコスメティックスを使ったコンディショニングスパ「香檀」も併設。
黄金色の自家源泉
温泉は3,700坪の雑木林に湧出する黄金色の自家源泉。わたしは温泉に詳しくはないのですが、湯の色がはっきり違うのは肉眼でわかります。客室の露天風呂で、雑木林の音だけを聞きながら浸かる時間が、本当に静かでした。
源泉懐石は相模湾の海の幸
食事は源泉懐石で、神奈川県・真鶴・相模湾の海の幸が中心。山の宿で海の幸というギャップも面白く、夫が「箱根に来て海を食べる贅沢」と言っていたのが印象的でした。
料金は2名1泊2食税込で103,400円〜。
5. 富士屋ホテル|明治11年創業、復刻オーシャンビューパーラーで歴史のアップルパイを
箱根のラウンジ宿で、もう一つどうしてもご紹介したかったのが富士屋ホテル。神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下359。箱根登山鉄道「宮ノ下駅」から徒歩7分。明治11年(1878年)創業、日本最古級のリゾートホテルで、国登録有形文化財です。
120室の中の、本館・西洋館・花御殿
客室は全120室。本館12室、西洋館21室、花御殿40室、フォレストウイング47室と、棟ごとに性格が違います。わたしたちが宿泊したのは花御殿の一室で、廊下を歩くだけで明治・大正・昭和の旅人たちの足音が聞こえてきそうでした。
復刻ラウンジ「オーシャンビューパーラー」
富士屋ホテルのラウンジは、昭和52年に消えた「オーシャンビューパーラー」を復刻したもの。歴史のあるソファ、高い天井、磨き込まれた木の床。座っているだけで、ヘレン・ケラー、チャップリン、ジョン・レノンが過去にここに座っていたという事実に、ふっと体温が上がるような感覚があります。
1915年最古メニューカードのアップルパイ
名物は「アップルパイ」。1915年(大正4年)の最古のメニューカードに記されたレシピを継承した一品です。一口食べた瞬間、夫が「100年前の人もこの味を食べてたんだね」と呟いていました。歴史を頬張るって、こういうことなんだと、しみじみ味わいました。
バー「ヴィクトリア」も併設されていて、夜はここでカクテルを一杯。バーテンダーさんとの会話で、富士屋ホテルの歴史を少しずつ教えてもらえるのも、宿泊の楽しみのひとつです。
昭和5年から続くフランス料理「ザ・フジヤ」
食事はメインダイニング「ザ・フジヤ」のフランス料理(昭和5年/1930年から続く)、旧御用邸「菊華荘」の日本料理(皇族の別邸を活用)、レストラン「カスケード」、ベーカリー「ピコット」と選択肢が豊富。わたしたちはディナーを「ザ・フジヤ」、朝食を「カスケード」で取りました。
温泉は宮ノ下温泉の自家源泉
温泉は宮ノ下温泉の自家源泉で、大浴場あり。歴史的なホテルですが、温泉設備もしっかり整っています。
料金は2名1泊2食税込で36,731〜445,500円。棟と部屋によって幅が大きいので、希望の体験に合わせて選べます。
予約は一休.com、じゃらん、JTBのいずれでもプランを比較できます。
5軒のまとめと、ふたりの旅のスタイル別おすすめ
5軒それぞれに個性がはっきりあるので、旅のスタイル別にもう一度整理します。
結婚記念日・節目の旅なら
強羅花壇。旧宮家別邸の品格と、ラウンジ「花影」から望む大文字山。夫婦の節目に、覚悟を持って組み込みたい一軒です。
景色とお湯を最優先するなら
箱根吟遊。インフィニティ露天と全室露天風呂付き。「景色とお湯さえあれば」というふたりに刺さる宿です。
気軽な贅沢と知的時間を求めるなら
はつはな。フリードリンク制ラウンジとライブラリー。「会話がなくても気まずくない時間」を作るための宿です。
他にない体験と小規模感を楽しむなら
箱根強羅 白檀。16室の小規模感、香袋作り体験、雑木林の中の黄金色の源泉。「他の宿にはない一品」を求めるふたりに。
歴史と文化財を体験するなら
富士屋ホテル。明治11年創業、復刻オーシャンビューパーラー、1915年からのアップルパイ。「過去の旅人と同じ場所に立つ」感慨を味わえる唯一の宿です。
気になった点も正直に
5軒すべて素晴らしい宿でしたが、それでも正直にお伝えしておきたい点があります。
まず、価格帯はどれも気軽な週末旅行というより、節目の旅として計画する金額です。最も手の届きやすい富士屋ホテルでも、棟と季節によっては10万円超えのプランも珍しくありません。
箱根吟遊と白檀は、駅からの移動に注意が必要です。箱根吟遊は宮ノ下駅から徒歩3分ですが、坂道があります。白檀は小涌谷駅からタクシー(送迎あり)で約5分。レンタカーがある方が動きやすいかもしれません。
ラウンジの運用も宿によって違います。強羅花壇は注文制、はつはなは完全フリードリンク制、箱根吟遊は時間帯で二段構え。希望の過ごし方に合わせて選んでください。
箱根への行き方と予約サイトの使い分け
箱根へは新宿から小田急ロマンスカーで約85分(箱根湯本駅)。そこから箱根登山鉄道で各駅へ。富士屋ホテル・箱根吟遊は宮ノ下駅、強羅花壇は強羅駅、白檀は小涌谷駅、はつはなは送迎バスで須雲川エリアへ。
予約サイトはわたしたちは下記の使い分けをしています。
- ハイクラス志向で予約特典重視なら一休.com
- プラン比較や還元ポイント重視ならじゃらん
- ロマンスカー+宿のセット予約ならJTB
- 楽天ポイントを使いたい時は楽天トラベル
- Yahoo!プレミアム会員ならYahoo!トラベルのクーポン
まとめ|箱根の温泉宿は「ラウンジで滞在の質が決まる」
箱根の温泉宿で、何を基準に選ぶか。これは本当に人それぞれです。温泉の質、客室の広さ、食事のスタイル、立地。どれも大事な軸ですが、わたしたちの中で確実に新しく加わったのが「ラウンジで過ごす時間」でした。
温泉に入ってから夕食までの3時間。朝食を食べてからチェックアウトまでの2時間。このふたつの「何もしない時間」を、どんな場所でどんな飲み物と過ごすか。それが箱根の旅の記憶を決めるのだと、5軒を訪ねた今は心から思います。
夫はこの取材から帰ってきたあと、「次に行くなら白檀かな。あの駄菓子の缶がもう一回見たい」と言っていました。わたしは強羅花壇のラウンジ「花影」の窓辺をもう一度味わいたい。
箱根のラウンジ宿で、ふたりの「何もしない時間」を、ぜひ体験してみてください。

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