万平ホテル「アルプス館・愛宕館・碓氷館」3館の選び方|夫婦で泊まり比べて見えた違い

万平ホテル 3館比較(愛宕館)

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※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。わたしたちが実際に宿泊・見学した体験をもとに書いています。

目次

一言で言うと、「万平ホテルはひとつじゃない」と気づかせてくれる宿だった

万平ホテルの予約画面を開いて、いちばん最初に戸惑ったのは、客室タイプの多さでした。

アルプス館、愛宕館、碓氷館。名前の違う3つの館がずらりと並んでいて、その中でもさらにプレミアだのスタンダードだのクラシックだの、タイプが枝分かれしていく。

「これ、どこに泊まればいいの」と、わたしは夫の顔を見ました。

夫はしばらく画面をスクロールしてから、ひとこと。

「全部、性格が違うみたいだね」

実際に泊まり、それ以外の館も見学させてもらって分かったのは、まさにその通りでした。同じ万平ホテルの名前を掲げていても、アルプス館と愛宕館と碓氷館は、建てられた年も、部屋の雰囲気も、料金帯も、向いている人まで違う。3館あわせて全86室、ここまで館ごとに色が分かれているホテルは、わたしたちがこれまで泊まってきたなかでも、なかなかありませんでした。

この記事は、3館を実際に見て、夫婦で「次に泊まるならどの館か」を本気で話し合ったわたしたちが、同じように迷っているふたりに向けて書いた、正直な選び方ガイドです。

こんなふたりにおすすめ

  • 万平ホテルに泊まってみたいけれど、どの館にすればいいか迷っている
  • 予算と雰囲気のバランスで、部屋タイプをちゃんと選びたい
  • 記念日や節目の旅で、後悔のない一軒を選びたい
  • ふたりの好みが分かれたとき、どう落としどころを見つけるかも知りたい

万平ホテルは「ひとつじゃない」という前提

まず最初に、いちばん大事な前提の話をさせてください。

万平ホテルは、ひとつの建物ではありません。敷地のなかに、それぞれ違う時代に建てられた3つの館が並び、共通のロビーやダイニング、カフェテラスでゆるやかにつながっている。いわば「小さな村」のような造りになっています。

全86室・3館体制の全体像

ざっくり把握しておくと、あとの話がぐっと分かりやすくなります。

客室数 建てられた年代 ひとことで言うと
アルプス館 12室 1936年(国登録有形文化財) 昭和の本館、歴史の塊
愛宕館 30室 2024年に完全新築 全室温泉付きの新棟
碓氷館 44室 2001年改築 自然に寄り添う静けさ

合計で86室。館ごとの部屋数にもずいぶん差があって、アルプス館は12室しかありません。愛宕館は30室、そしていちばん大きいのが碓氷館で44室。

つまり、「万平ホテルに泊まった」と一口に言っても、どの館に泊まったかで体験はずいぶん違ってきます。ここを最初に押さえておかないと、予約サイトのプラン一覧で迷子になります。わたしたちも最初、完全に迷子になりました。

なぜ3館あるのか、というちいさな背景

歴史の詳しい話は別でまとめるとして、ここでは選ぶときに知っておくと便利な分だけ。

万平ホテルは1894年に生まれて、130年以上の歴史があります。戦前にアルプス館が本館として建てられて、そのあと戦後の時代のなかで少しずつ棟を増やしていきました。2023年から大規模リニューアルに入り、2024年秋に生まれ変わって、現在の3館体制になっています。

このタイミングで「完全新築」として生まれたのが愛宕館。一方で、アルプス館は「徹底的に残す」という選択がされて、外観も内装のディテールも、できる限りそのまま引き継がれました。碓氷館はその中間で、2001年に改築された館をベースに、今回のリニューアルで設備面がアップデートされています。

つまり3館は、それぞれ別の「残し方・更新の仕方」をされた館。だから性格が違うのは当然なんだね、と、ひと通り見て回ったあとに夫婦で納得しました。

3館ひと目で比較|ここだけは押さえておきたい違い

言葉で説明してきたものを、図でもう一度ざっくり俯瞰しておきます。予約前に迷ったら、ここだけ見てもらえれば、どの館が自分たちに合うかの当たりはつきます。

COMPARE / 3館の違い

万平ホテル、3つの館の個性

どの館に泊まるかで、滞在の印象がまるで違うのが万平の奥深さ。

アルプス館

1936 / 本館

  • 建築昭和初期の名建築
  • 客室クラシック仕様
  • 特徴ジョン・レノン定宿
  • 雰囲気歴史と静けさ
宿泊記念にと選ぶなら迷わずここ。壁も床も「時間」を纏っています。

愛宕館

2024 / 新装

  • 建築リニューアル棟
  • 客室モダン&快適
  • 特徴広めのバスルーム
  • 雰囲気上質で軽やか
初万平なら、まずここが安心。設備の新しさと歴史の風格のいいとこ取り。

碓氷館

1917 / 歴史

  • 建築和洋折衷の趣
  • 客室落ち着いた造り
  • 特徴文豪の常宿として
  • 雰囲気静謐で文学的
読書の旅なら、ぜひ碓氷館で。時間がゆっくり流れる感覚があります。

CHART / Saion Original

ここから先は、この表を少しずつ解きほぐしながら、「じゃあ実際、どの館が自分たちに合うのか」を一緒に考えていきます。

アルプス館(12室)|1936年築、歴史の本丸

まず、万平ホテルの「本丸」にあたるのがアルプス館です。

わたしたちが泊まったのもこの館でした。ほかの2館を見学して戻ってきたときに、改めて「やっぱりアルプス館を選んでよかったね」と夫婦でうなずきあったのをよく覚えています。

客室の雰囲気:猫足バスタブと軽井沢彫の家具

アルプス館の客室を語るときに、どうしても外せないのが水回りの猫足バスタブです。

白い琺瑯で、四本の脚が獣の脚のようにちょこんと床に着いている、あれです。蛇口や配管は新しくなっていますが、バスタブそのものは継承されていて、琺瑯の表面にはよく見ると使い込まれた細かな曇りがあります。ピカピカではなくて、ちゃんと「時間が流れた跡」が残っている。そのバランスが絶妙でした。

家具も、軽井沢彫のものが並んでいました。桜の花と葉が彫られたテーブル、同じ文様のドレッサー、脚元にそっと葉っぱの彫刻が入った椅子。

部屋に入った瞬間、夫が「お、これはいいね」と短く言って、スーツケースを置く前にしばらく椅子に座って部屋を眺めていました。わたしも隣で同じように動けなくなっていて、ふたりで十分くらい、ただ天井のシェードと窓枠の木目を見ていた気がします。

部屋の広さ自体は、今どきの高級ホテルの基準で言うと「そこまで広くはない」です。ここは正直に書いておきます。

でも、広さではないものでちゃんと勝負している。そういう部屋でした。

向いている人/向かない人

アルプス館が向いている人は、はっきりしています。

  • 新しさよりも、時間が積み重なった場所に心が動く人
  • 建物や内装そのものを「体験」として味わいたい人
  • 広さより空気感を優先できる人
  • ジョン・レノンが毎夏家族で滞在していた、というレイヤーに心が反応する人

逆に向かないかもしれないのは、こんなふたりです。

  • とにかく広い部屋でのびのびしたい(45㎡より広い部屋を希望)
  • バストイレ洗面がしっかり分かれている水回りが絶対条件
  • 新築の気持ちよさを求めている
  • 温泉内風呂が必須

アルプス館の客室には、塩沢温泉の内風呂はありません。そこは愛宕館の担当になります。お湯に浸かってゆっくり、を旅の主目的にするなら、アルプス館はちょっとズレるかもしれません。

料金帯と予約のコツ

アルプス館は全12室。ここが大事なポイントで、12という数字は、ハイシーズンの週末にはすぐに埋まる数です。GW、夏休み、紅葉シーズン、そして年末年始。このあたりを狙うなら、最低でも3ヶ月前、できれば半年前には日程を決めてしまうのが安心です。

料金帯は、時期とプランで大きく振れます。素泊まり2名1泊で3万円前後から始まり、朝食付きで4〜5万円台、夕朝食付きのハイシーズンだと7〜10万円台になることも。ここは愛宕館のプレミアに近い価格ゾーンです。

わたしたちは4つの予約サイトを並べて見比べて、いちばん日程とプランが噛み合うところで取りました。

サイトによって在庫や特典プランが違うので、1つだけ見て「取れない」と諦めずに、複数を行き来するのがコツでした。

アルプス館に泊まった夜のことは、万平ホテルのリニューアル宿泊記のほうに詳しく書いています。館全体を決める前に、「アルプス館の部屋って実際どんな感じ?」を確認したい方は、そちらも合わせて読んでもらえると、よりイメージがはっきりするはずです。

愛宕館(30室)|2024年新築、塩沢温泉付きの新棟

次が、今回のリニューアルで完全に新築された愛宕館。

わたしたちはチェックインのあと、スタッフの方にお願いして、愛宕館の空き部屋を少しだけ見学させていただきました。廊下に一歩踏み込んだ瞬間、アルプス館とはまったく違う空気で、思わず夫と目を合わせたのを覚えています。

5つの客室タイプ|プレミアから万平スイートまで

愛宕館は全30室。タイプが5種類に分かれています。

タイプ 広さ 特徴 部屋数
プレミア(温泉付) 45㎡ 愛宕館の基本形 17室
プレミア(温泉・テラス付) 45㎡+テラス 外の空気と湯気がつながる 10室
グランドプレミア(温泉付) 56㎡ ひとまわり広い 1室
愛宕スイート(温泉付) 80㎡ 広々スイート 1室
万平スイート(温泉付) 91㎡ 最上位 1室

ここでいちばん大切なのは、「愛宕館は全室温泉付き」という点です。

30室すべての内風呂に、南軽井沢の塩沢温泉が引かれています。愛宕館を選ぶということは、そのまま「客室で温泉に入る」体験を選ぶことでもあります。

基本形はプレミア(温泉付)。17室あり、45㎡という広さは、アルプス館の一般的な客室と同じくらいです。テラスが欲しい人は、10室あるテラス付きを指定。ふたりで特別な日に広めの部屋を選ぶなら、1室ずつしかないグランドプレミアや愛宕スイートに挑戦、という流れになります。

見学させてもらって、廊下の空気がピンとしていた

見せていただいたのはプレミア(温泉付)の部屋でした。

ドアを開けた瞬間、ふっと木の香りがしました。新築の棟特有の、まだ落ち着いていない、でも安っぽくない、深みのある木の匂い。

内装は「クラシカルモダン」という言い方がしっくりきます。濃い茶色の木目と、落ち着いたファブリック。館全体のデザインのテーマになっている「万平格子」という木の格子模様が、壁の一部や家具の差し色として効いていました。

そしていちばん印象的だったのが、やっぱりお風呂です。

内風呂に塩沢温泉が引かれていて、24時間いつでも蛇口をひねればお湯が溜まります。試しにほんの少しお湯を落としてもらうと、ふわっと、ほのかに温泉特有のにおいが立ちのぼりました。手を入れてみると、「つるっ」というより「すっ」という感覚。お肌に吸いつくような感じのお湯です。

夫が小さな声で「これは、うらやましいかもしれない」と言いました。わたしは「でしょ」と笑いました。

塩沢温泉の泉質と使い勝手

引かれているお湯は、南軽井沢の塩沢温泉。泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉、いわゆる重曹泉で、pHは6.7。

難しい泉質の話はさておき、ポイントはひとつ。「大浴場はありません」ということです。

万平ホテルの温泉は、愛宕館の客室内風呂だけ。大きなお風呂にばしゃんと飛び込みたい方は、少し違う期待の向き先になります。逆に、誰にも邪魔されず、時間を気にせず、ふたりだけで好きなタイミングで湯に浸かりたい方には、この「客室温泉」という設計はかなり刺さります。

チェックインが15時、翌朝チェックアウトまで。この約20時間のあいだ、何度でも湯を張り直せる贅沢は、やっぱりちょっと特別です。

向いている人/向かない人

愛宕館に向いているのは、こんなふたりです。

  • 客室のお風呂でゆっくり過ごすのが好き
  • 新築の清潔感と、歴史あるホテルの風格、両方を取りたい
  • 初めての万平ホテルで、まずは「いちばん安心できる選択」をしたい
  • 水回りは完全に独立しているほうがいい
  • テラスで夜風を浴びながら湯冷ましをしたい(テラス付きの場合)

逆に、合わないかもしれないのは。

  • 昭和初期の建物そのものの空気を味わいたい
  • 予算は4〜5万円台に抑えたい(愛宕館のプレミアは基本もう少し上)
  • 広い大浴場で開放感を味わいたい

料金帯と予約のコツ

愛宕館プレミア(温泉付)は、2名1泊で朝食付き6〜8万円台が目安。ハイシーズンや連休は10万円を超えてくることもあります。テラス付きだと、そこからさらに少し上乗せ。

狙い目のひとつは、平日と、いわゆる「谷間の時期」です。GW後の5月中旬、梅雨明け前の6月下旬、紅葉前の10月前半あたりは、比較的料金が落ち着くことが多い印象でした。

テラス付きは10室しかないので、連休シーズンの週末はかなり早く埋まります。テラスにこだわる方は、半年前の予約スタートに合わせて動くくらいでもちょうどいいです。

プランを比較するなら、やっぱり複数サイトを並べるのがいちばん早いです。

碓氷館(44室)|自然に寄り添う、静けさの館

そして3館目、碓氷館。

実は最初、わたしたちが予約サイトでいちばん理解しきれなかったのがこの館でした。「アルプス館は本館」「愛宕館は新築温泉棟」と聞けばすぐ分かるのですが、碓氷館ってどういう位置づけなの、と。

結論から言うと、碓氷館は万平ホテルのなかで「自然に寄り添う、静かなエレガンス路線」を担う館です。ここが分かると、一気にイメージがつかめるようになりました。

5つの客室タイプ

碓氷館は全44室。いちばん部屋数が多い館で、タイプはこうなっています。

タイプ 広さ 定員 部屋数
碓氷館 スタンダード 45㎡ 2〜3名 12室(2F・3F)
碓氷館 スタンダード(テラス付) 45㎡+テラス 2〜3名 9室
碓氷館 クラシック 45㎡ 2名 13室(2F・3F)
碓氷館 クラシック(テラス付) 45㎡+テラス 2名 9室(1F・2F)
碓氷館 碓氷スイート(テラス付) 90㎡+テラス 2〜3名 1室(3F)

注目してほしいのは、どのタイプも広さが45㎡あるところ。スイート以外はすべて45㎡で揃っていて、「スタンダード」と「クラシック」の違いは定員やインテリアの方向性にあります。スタンダードは2〜3名対応で、ファミリーや友人同士でも使いやすい設計。クラシックは2名専用で、よりしっとりとした大人ふたりの滞在に寄せた部屋です。

テラス付きは、スタンダード9室とクラシック9室、合計18室。そして最上位に、90㎡ある碓氷スイートが1室だけ。ここは3階の特別な一室で、ほかの部屋とは完全に別格の位置づけです。

グリーン基調、エレガンス路線、そして「温泉内風呂なし」

碓氷館を見学させてもらって、まず印象に残ったのがインテリアの色味でした。

グリーンを基調にした、落ち着いたクラシカルモダン。深い緑のソファ、同系色のファブリック、窓越しに見える四季の木々と色合いがちゃんとつながるように設計されていました。

「ここ、窓の外の緑と部屋のなかの緑が、絵として一枚に見える」

夫がぽつりと言って、わたしは「あ、本当だ」と小さく声を出しました。

そして、ここがいちばん大事なポイントです。碓氷館には、塩沢温泉の内風呂は標準では付いていません。

ここを知らずに「万平ホテル=温泉」のイメージで予約すると、あとで「あれ?」となるかもしれません。温泉は愛宕館の担当、碓氷館は「自然に溶け込む静けさと、エレガンスな客室」が担当、という役割分担になっています。

代わりに碓氷館には、別の魅力があります。

  • どの部屋も45㎡あって、広さにムラがない
  • テラス付きタイプが18室あり、選択肢が豊富
  • 窓の外に四季の木々が近く、朝の光や葉擦れの音が気持ちいい
  • 館全体の空気が、アルプス館よりも「軽やか」で、愛宕館よりも「落ち着いている」

朝、窓を開けたときに入ってくる空気の冷たさと、葉のざわめきが、ちょうどいい距離で届く。そういう館でした。

向いている人/向かない人

碓氷館が向いているふたりは、こんな感じです。

  • 予算は3館のなかでは抑えめにして、でも広さと雰囲気は妥協したくない
  • 温泉内風呂はなくてもいい(むしろシャワーでさっぱり派)
  • 窓の外の緑や季節感を、部屋のなかからゆっくり楽しみたい
  • テラスで朝のコーヒーを飲みたい
  • 「歴史の重さ」よりも「静けさ」を重視したい

合わないのは、こういう方です。

  • お湯にゆっくり浸かる時間が旅の主目的
  • 昭和初期の建物そのものを体験したい
  • 「万平ホテルの象徴」的な体験を最優先したい

料金帯と予約のコツ

碓氷館クラシックのツイン、朝食付きで、2名1泊の料金目安は税込39,786〜57,496円。ここは時期による変動がかなり大きいゾーンですが、「週末は57,000円台、平日や谷間のシーズンは40,000円前後」という振れ方をするイメージです。

3館のなかで、いちばん「ちょうどいいライン」が取りやすいのが碓氷館。44室あるので、アルプス館や愛宕館テラス付きよりは比較的取りやすい、というのも地味にうれしいポイントです。

予約サイトによって、朝食付き・素泊まり・夕朝食付きのプランラインアップが違うので、ここも複数を見比べるのがおすすめです。

予算別おすすめフロー|いくら出すなら、どの館か

ここからは、選び方を角度を変えて整理していきます。まずは予算から。

2名1泊・朝食付きを基準に、ざっくりこんな感じで考えると分かりやすいです。

4〜5万円台なら:碓氷館クラシック

3館のなかで、この価格帯でいちばん取りやすいのが碓氷館クラシックです。

広さは45㎡あって、窓の外には軽井沢の木々。インテリアはグリーン基調のクラシカルモダン。温泉内風呂はありませんが、その分、価格がぐっと現実的になります。

「初めての万平だから、まずは体験として入ってみたい」「記念日というほどではないけれど、ふたりでちょっといい宿に泊まりたい」という方には、このラインがいちばんバランスがいいです。

テラス付きにすると少し料金が上がりますが、朝のコーヒーをテラスで飲む15分のために、その差額は全然払ってもいいと思いました。

5〜7万円台なら:アルプス館スタンダード

もう少しだけ背伸びできるなら、わたしたちが推したいのはアルプス館です。

正直、この価格帯だと愛宕館プレミア(温泉付)とも競合します。どちらを選ぶかは好みの問題なのですが、「1936年築の国登録有形文化財に泊まる」という体験は、他のホテルではどう逆立ちしても買えません。温泉は愛宕館に譲るけれど、建物そのものが持つ時間の重みは、アルプス館にしかありません。

猫足バスタブ、軽井沢彫の家具、廊下のペンダントライト。全部が「いまも現役で使われている古い美しいもの」で満ちている。写真で見るのと、自分の足で歩いて自分の指で触れるのでは、体験の濃さがまったく違います。

記念日や節目の旅で、建物体験をメインに据えるなら、この価格帯はアルプス館を選ぶ価値があります。

8〜12万円台なら:愛宕館プレミア(温泉付)

8万円を超えてくる価格帯なら、わたしたちは迷わず愛宕館プレミアを推します。

全室温泉内風呂、新築の清潔感、45㎡の広さ。テラス付きにすると10万円を超えてくることも多いですが、夜にテラスで夜風を浴びながら湯冷ましをする時間は、本当にちょっと特別です。

この価格帯で選ぶ人は、たぶん「目的のある旅」で来る人が多いはず。結婚記念日、お互いの誕生日、仕事の節目、夫婦での久しぶりの旅行。そういう「ちゃんと覚えておきたい夜」に、愛宕館プレミアの部屋は真価を発揮します。

12万円以上なら:グランドプレミアか、各スイート

さらに上を目指すなら、愛宕館のグランドプレミア(56㎡、1室)、愛宕スイート(80㎡、1室)、万平スイート(91㎡、1室)、あるいは碓氷館の碓氷スイート(90㎡、1室)が候補になります。

どれも1室しかないので、予約が取れたらそれ自体が運の良さ。連休や記念日シーズンは、ほぼ半年〜1年前から動く人が押さえていく世界です。ここは「出会えたときに取る」くらいの感覚のほうがいいかもしれません。

季節別おすすめフロー|いつ行くかで、向いている館が変わる

予算の話の延長で、もうひとつ大事なのが「いつ行くか」です。季節によって、館ごとの良さの出方が変わります。

春(4月下旬〜5月):アルプス館か、碓氷館

桜の終わりと新緑の始まりが重なる、軽井沢のいちばん美しい時期のひとつです。

朝晩はまだ5度を下回ることもあって、冷たい空気が気持ちいい季節。この時期は、歴史ある建物の「しん」とした静けさが映えます。アルプス館の廊下の空気、碓氷館の窓から見える芽吹きかけの木々。どちらも春らしい表情を見せてくれます。

逆に、愛宕館のテラスで夜風を浴びる、というのは4月だとちょっと寒いかもしれません。温泉でしっかり温まってから部屋で過ごすほうが、正直この時期は快適でした。

夏(7〜8月):愛宕館テラス付きか、碓氷館テラス付き

軽井沢が年間でいちばん賑わう時期です。日中は涼しくても、外を歩くとそれなりに汗ばみます。

この季節にいちばん真価を発揮するのが、テラス付きの部屋。夕方の風が抜けるテラスで、アイスコーヒーを片手に過ごす時間は、夏軽井沢の王道の楽しみ方です。愛宕館のテラス付きなら、風呂上がりにそのままテラスで涼む、という贅沢な流れも取れます。

ただし夏は料金がいちばん上がる時期。予約は3〜6ヶ月前に動くくらいが安心です。

秋(10〜11月):どの館でも正解

正直に言うと、秋の軽井沢はどの館を選んでも外しません。

紅葉シーズンの色づいた木々と、澄んだ空気。アルプス館の歴史的な重みとも、愛宕館の新築の清潔感とも、碓氷館のグリーン基調の内装とも、秋の軽井沢はよく馴染みます。

強いてあげるなら、紅葉を窓越しに眺める時間を長く取りたいなら碓氷館、温泉で冷えた体を温めたいなら愛宕館、という分け方です。

冬(12〜3月):迷わず愛宕館

冬は温泉の季節。これはもう、愛宕館一択でいいと思います。

外は氷点下、でも部屋に戻れば塩沢温泉の湯気がふわっと立ちのぼる内風呂がある。この体験は、冬の軽井沢でしか味わえません。テラス付きなら、湯上がりに一瞬だけ冷たい空気を吸って、また湯気の中に戻る、という贅沢な往復ができます。

アルプス館の歴史性も捨てがたいですが、冬の寒さのなかで温泉がない部屋は、夫婦のどちらかは「やっぱり温泉があったほうが」と小さく思うはず。冬は素直に愛宕館、が結論です。

目的別おすすめフロー|その旅で、何を叶えたいか

予算の次は、目的別。旅の主目的が何かで、選ぶ館はけっこう変わります。

歴史に浸りたい記念日なら:アルプス館

これは迷いません。アルプス館を選んでください。

1936年に建てられた本館で、国登録有形文化財。1976〜79年、ジョン・レノンが家族で毎夏滞在していたのもこの館です。建物の廊下を歩くだけで、「ここを、あのジョン・レノンが歩いたんだ」と思える場所は、そうありません。

結婚○周年、仕事の区切り、人生の節目。そういう「ちゃんと意味のある夜」に、アルプス館は応えてくれます。わたしたちも、数年後の節目にはまたここに戻ってこようね、と話しています。

温泉でのんびりしたいなら:愛宕館プレミア

お湯に浸かる時間を旅のメインに据えたいなら、答えは愛宕館プレミア一択です。

アルプス館にも碓氷館にも、客室温泉は付いていません。つまり「万平ホテルで温泉に入る」という体験は、愛宕館でしか手に入らない。ここはもう迷う余地がありません。

プレミアに温泉が付いているだけで十分ですが、テラス付きにすると、夜風を浴びながらの湯上がり時間が加わります。冬の軽井沢だとさすがに寒いかもしれませんが、春の終わりや秋の初めは、テラスの冷たい空気と客室のあたたかい湯気のコントラストがかなり気持ちいいはずです。

静けさと価格感のバランスなら:碓氷館

「温泉じゃなくてもいい、とにかく静かにふたりで過ごしたい」というふたりには、碓氷館がとてもよく合います。

44室あるので、アルプス館の12室ほど埋まらず、予約も比較的取りやすい。45㎡の広さ、グリーン基調の落ち着いた内装、窓越しに見える季節の木々。旅というより「短い引越し」のような、ゆっくりとした時間が過ごせる館です。

読書を持ち込んだり、朝はテラスでコーヒーを淹れたり、夜はメインダイニングの帰りにバーに寄ったり。そういう「淡々と過ごす贅沢」がいちばんしっくりくるのが碓氷館でした。

ふたりの意見が割れたら:碓氷館という「真ん中の答え」

ここ、けっこう大事な話です。

実際わたしたちも、最初は意見が割れました。夫は「古い建物でちゃんと時間を味わいたい」派でアルプス館。わたしは「内風呂で温泉があるほうが絶対いい」派で愛宕館。

結局、今回はアルプス館に落ち着きましたが、これはたまたまわたしが折れただけで、正直最後まで微妙に引きずりました。

そして、全部見終わったあとに思ったんです。「あれ、碓氷館って、実はふたりの妥協点としてちょうどいいかも」と。

アルプス館の歴史性ほど強烈ではないけれど、ちゃんと万平ホテルらしい落ち着きがある。愛宕館の温泉はないけれど、45㎡の広さとテラスでの時間は手に入る。どちらか一方に振りきれない、でもそれぞれの長所をちゃんと持っている。

「ふたりで迷ったら、いったん碓氷館を真ん中に置いてみる」

これ、意外といい判断基準です。

館をまたいで楽しむコツ|違う館でも「万平ホテル」は一つ

ここまで、館ごとの違いをかなり細かく書いてきましたが、ひとつだけ「共通の話」を。

どの館に泊まっても、朝食と夕食のメインダイニング「欅」は同じ。カフェテラスも同じ。ザ・バーも同じ。ロビーも、玄関の1894年からの木製看板も、フロント横のジョン・レノンが弾いたというアップライトピアノも、全部共通です。

つまり、館によって違うのは「客室の体験」であって、ホテル共通の「場の体験」は、どの館に泊まっても平等に楽しめる。これは地味ですが、すごく大事なポイントです。

朝食と夕食は、どの館でも同じ場所で

メインダイニング「欅」の折上げ格天井とステンドグラスの下で食事をする体験は、アルプス館からでも愛宕館からでも碓氷館からでも、同じ道順でたどりつきます。予算の都合で碓氷館を選んだとしても、夕食の体験は愛宕スイートの人とまったく同じ。ここは安心して大丈夫です。

カフェテラスは、ぜひ館を問わず立ち寄ってほしい

カフェテラスは宿泊者以外でも利用できるオープンな空間で、わたしたちは2日間で3回も通ってしまいました。ジョン・レノンが好んで座ったとされる席もここにあります。

「アルプス館の部屋は高くて手が出ないけど、カフェテラスでロイヤルミルクティーとアップルパイを味わうだけでも、まず万平ホテルの空気を感じてほしい」。これがわたしたちの本音です。

宿泊に進む前の「試しに触れてみる」ステップとして、カフェテラスはとてもよくできています。カフェテラスの体験記事のほうに、メニューや席の雰囲気、予約の仕方まで詳しく書いています。まずは日帰りで試してから宿泊を考えたい方は、そちらもぜひ。

予約で気をつけたいこと|3館それぞれの「取りにくさ」

予約まわりで、実際に何度か予約サイトを行き来したわたしたちから、ひとつだけお伝えしたいことがあります。

館によって、在庫の減り方のスピードが全然違います。

すぐに埋まるのは、アルプス館12室と愛宕館テラス付き10室

いちばん早く埋まるのがアルプス館。そもそも12室しかないので、ハイシーズンの週末や連休は、半年〜3ヶ月前にはもう残り数室、ということが普通にあります。

次に埋まるのが、愛宕館プレミア(温泉・テラス付)の10室。テラス付きの特別感もあり、連休シーズンはここも早いです。

逆に比較的取りやすいのが、碓氷館44室と愛宕館プレミア(温泉付・テラスなし)17室。数が多いぶん、直前でも空きが出ていることがあります。

一休・じゃらん・楽天・JTBの使い分け

予約サイトは4つ並行で見るのがおすすめです。わたしたちがいつもやっている使い分けは、だいたいこんな感じ。

  • 一休.com:ハイクラスホテルに強く、プランの比較が見やすい。夕朝食付きの特別プランがあることが多いです。
  • じゃらん:ポイント還元率が上がるキャンペーンが頻繁。素泊まりプランの種類が豊富です。
  • 楽天トラベル:楽天市場でお買い物をする方なら、ポイントの使い勝手がいちばんいい。スーパーSALE期間はとくに有利です。
  • JTB:宿泊と新幹線をセットにしたダイナミックパッケージが強いです。遠方からの方はここで総額を比べると見え方が変わることがあります。

同じ日程・同じ客室タイプでも、サイトによって総額や特典がちょっとずつ違うので、1つだけ見て決めずに、複数を並べて見比べる。そのひと手間で、数千円〜1万円単位で変わることもあります。

わたしたちの気になったところ|正直に3つ

3館を見て回ったうえで、「ここはちょっと気になったかも」と感じたところも、正直に書いておきます。

1. 館によって予約サイトのタイプ表記がちょっと分かりにくい

これは万平ホテル自体の問題というより、予約サイト側の表記の問題なのですが、館名と客室タイプの組み合わせが多すぎて、最初は「どのプランがどの館なのか」を特定するのにけっこう手間取りました。

「プレミア」と書いてあれば基本は愛宕館、「クラシック」や「スタンダード」と書いてあれば碓氷館、「アルプス館スタンダード」と明記されていればアルプス館。この原則を頭に入れておくと、迷わずに選べます。

2. 温泉を期待しすぎると、館選びでズレが出る

「クラシックホテルで温泉もある」と聞くと、つい大浴場をイメージしてしまいますが、万平ホテルに大浴場はありません。温泉は愛宕館の客室内風呂だけ。

ここを踏まえずにアルプス館や碓氷館を予約すると、「温泉ないのか…」とあとで少しがっかりすることになります。わたしたちがたまたま館の違いを事前にちゃんと把握できていたのは、運が良かった面もあります。予約前に「この館に温泉内風呂が付いているか」を必ず確認することを、ぜひおすすめします。

3. アルプス館と碓氷館は、水回りの作りにクセがある部屋も

アルプス館に泊まった際、わたしたちの部屋はバス・トイレ・洗面が同じ空間にまとまっている作りでした。いわゆる「3点ユニット的」な配置で、ふたりで同時に使えないのは、ちょっとだけ不便でした。

歴史ある建物にあとから水回りを通している関係で、最新のホテルのように完全分離タイプばかりではありません。水回りの独立を重視する方は、予約時に部屋の間取りを画像で確認してから決めると、あとで「あれ」となりにくいです。

愛宕館は新築なので、そのあたりはきれいに分離されていました。水回りの独立がどうしても外せない条件なら、愛宕館が安全牌です。

Saion独自スコア|3館別の正直採点

さいごに、わたしたち夫婦による3館のスコアを置いておきます。完全に主観です。

アルプス館のスコア

項目 スコア コメント
夫の感動度 ★★★★★ 建物そのものに完全に心を持っていかれていた
妻の満足度 ★★★★☆ 温泉がない分、少しだけ控えめ。でも猫足バスタブは最高
コスパ ★★★☆☆ 価格は決して安くないが「ここでしかできない体験」を買う感覚
静けさ ★★★★☆ 壁の音はクラシックホテルの宿命。夜は十分に静か
記念日向き ★★★★★ 建物のストーリー性が段違い

愛宕館(プレミア温泉・テラス付想定)のスコア

項目 スコア コメント
夫の感動度 ★★★★☆ 新しさは好みだが歴史派には少し物足りないかも
妻の満足度 ★★★★★ 温泉内風呂+テラスは、完全に「勝ち」の組み合わせ
コスパ ★★★☆☆ 高いが、温泉付きのプライベート感を考えれば納得
静けさ ★★★★★ 新築なので防音もしっかり。ぐっすり眠れる
記念日向き ★★★★★ はじめての万平、お祝い旅にはここがいちばん安心

碓氷館(クラシック想定)のスコア

項目 スコア コメント
夫の感動度 ★★★☆☆ 派手さはないが、落ち着きは抜群
妻の満足度 ★★★★☆ グリーン基調の内装と窓の緑が気持ちいい
コスパ ★★★★★ 3館のなかでいちばん手が出しやすく、広さもしっかり
静けさ ★★★★★ 館名通り、本当に静か。読書旅にもぴったり
記念日向き ★★★☆☆ 特別感より「ちょっといい週末」にはまる館

スコアは、わたしたちの好みが濃く反映されています。人によっては「愛宕館の新築感が好き」「いや、碓氷館の静けさがいちばん」と意見が分かれるはず。だから、この表はあくまで「迷ったときの一つの目線」として使ってください。

万平ホテルの基本情報

ホテル名 万平ホテル(まんぺいホテル)
所在地 〒389-0102 長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢925
創業 1894年(明治27年)
リニューアル 2024年10月2日グランドオープン(創業130周年)
客室数 全86室(アルプス館12室/愛宕館30室/碓氷館44室)
温泉 塩沢温泉(愛宕館全客室の内風呂のみ、大浴場なし)
泉質 ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉(重曹泉)、pH6.7
アクセス JR軽井沢駅よりタクシー約5分、無料送迎バスあり(予約制)
公式サイト https://www.mampei.co.jp/

※各館の詳しい宿泊体験は万平ホテル総合宿泊記(アルプス館の宿泊記を詳しく)にまとめています。建物の成り立ちや130年の物語に触れたい方は万平ホテル130年の歴史編(3館それぞれの物語を知る)、軽井沢散策とあわせて楽しみたい方は万平ホテル起点の旧軽井沢散策モデルコース(どの館に泊まっても徒歩圏)もどうぞ。

まとめ:次はどの館に泊まろう、が楽しい宿

帰りの新幹線のなかで、夫がまず切り出しました。

「次は愛宕館にしない? あの温泉、やっぱり捨てがたい」

わたしはしばらく黙って、窓の外の浅間山を眺めていました。それから、こう答えたのを覚えています。

「うん、次は愛宕館でいいと思う。でもその次は、いつか碓氷館で静かに読書する旅をしたい」

夫は笑って、「じゃあ、結局3回通うのか」と言いました。

そうなんです。万平ホテルの面白いところは、一度泊まって終わりにならないこと。3館あるから、「次はどの館にしようか」というワクワクが、何度もやってくる。同じホテル名なのに、同じ体験は二度と手に入らない。

アルプス館で歴史の空気にどっぷり浸かる夜。愛宕館の内風呂で湯気に包まれる夜。碓氷館の窓越しに、四季の木々と過ごすゆっくりした夜。

3つとも、別のよさがあって、別の時間が流れている。この記事が、そのうちのどれが「いまのふたりにしっくりくるか」を考えるヒントになれば、うれしいです。

予約サイトで迷ったときは、ここに戻ってきて、もう一度どの館が自分たちに合っているかを確かめてみてください。そしてもし、どうしても決められなくなったら、いちばん近い候補を一つ決めて、まずはカフェテラスに立ち寄ってみるのもひとつの手。万平ホテルの空気を一度吸ってしまえば、自分たちが泊まりたい館の答えは、きっと自然に出てきます。

わたしたちは、もう次の予約のタイミングを相談しはじめています。次に書く記事は、愛宕館の宿泊記になるはずです。そのときはまた、できるだけ正直に、ふたりの温度感そのままに書きます。

—CONTENT—

画像引用元

アイキャッチ画像は著作権法第32条「引用」の規定に基づき、万平ホテル公式サイトより出典を明記の上で使用しています。

万平ホテル 3館比較(愛宕館)

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