※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。わたしたちが実際にカフェテラスを訪れた際の体験をもとに書いています。価格は2026年4月時点のものです。
TIMELINE / カフェテラスの一日
カフェテラスの時間割
同じ席でも、時間帯でまるで別の顔を見せるのがこの場所。わたしたちの実感をそのまま残しました。
静か
席はほぼ選び放題。窓辺の明るさが柔らかく、店内の空気に前日の余韻が残っています。朝食代わりの軽めの一皿でも、ここから一日を始めたくなる静けさ。
「宿泊の朝、部屋から直行しました。ひと組分の足音しか聞こえない時間って、旅先でしか味わえない。」
やや混
日帰り客も増え、席が埋まりはじめる時間。人気のアップルパイを狙うならこのタイミングが安全圏。待ち時間が出る日もあるので、早めの入店がおすすめです。
「11時台に入れた日は、ちょうど一番いい席が空いていました。運もあるけど、早い時間は分がいい。」
落ち着く
BEST
ランチ客の波が引き、店内に静けさが戻ってくる時間帯。光の角度が変わり、木の色が深くなるこの瞬間が、わたしたちがいちばん好きなカフェテラスの顔です。
「普段は話さないことまで、なぜか話せてしまう時間。ここに来ると毎回そうなるんです。」
ほどよく
散歩で少し冷えた体に、濃く淹れたロイヤルミルクティーが沁み入る時間。日が傾きはじめ、窓の外の緑が金色を帯びます。ケーキも一緒にどうぞ。
「軽井沢の夕方って、急に涼しくなるんです。カップを両手で持ちたくなる、あの感じ。」
最終
ラストオーダーは17時。この時間になると宿泊客がぽつぽつ戻ってきて、昼とは少し違う落ち着きがあります。閉店までの余韻を味わうように、ゆっくり過ごしたい。
「閉まる時間を知って入るから、一杯が丁寧になる。それも含めていい時間でした。」
CHART / Saion Original
一言で言うと、宿泊しなくても「万平ホテルの午後」はちゃんと味わえる。
軽井沢・万平ホテルのカフェテラスで、わたしたちは合計3回お茶をしてきました。
1回目は、宿泊の初日。チェックインのあとすぐに。2回目は、翌日の朝食後。3回目は、チェックアウトした日の午後、帰りの新幹線までの時間つぶしに、もう一度だけ。
カフェテラスは、宿泊者じゃなくても入れる空間です。それどころか、「宿泊はしないけれど、雰囲気だけ味わいに来ました」というお客さんが、わたしたちの隣にも何組もいらっしゃいました。
しかもここには、ジョン・レノンが家族で4年通った軌跡がそのまま残っています。彼が愛したロイヤルミルクティー。伝統のアップルパイ。壁に残る、ある小さな物語。そしてロビーに置かれた一台のピアノ。
一泊10万円近いコースでなくても、1,300円のミルクティー一杯で、万平ホテルという場所の「入口」はちゃんと開いてくれます。
この記事は、カフェテラスで過ごしたわたしたちの静かな午後の話です。宿泊しない人のためにも、宿泊する前の予習にも、きっと役に立つと思います。
こんなふたりにおすすめ
- 軽井沢に日帰りで行くけれど、クラシックホテルの空気は味わいたい
- ジョン・レノンと軽井沢のつながりに、前から少し興味があった
- 人気店で並ぶより、静かにお茶ができる場所を探している
- 宿泊はハードルが高いけれど、入口だけでも覗いてみたい
カフェテラスは「宿泊しなくても入れる」万平ホテルの入口
万平ホテルという宿の名前を聞いたことはあっても、「泊まらないと入れないのでは」と思っている方は、わりと多い気がします。わたしも、ひそかにそう思っていました。
実はそんなことはありません。
カフェテラスは、宿泊者でなくても利用できるオープンな空間です。予約もLINEの順番待ちか電話で取れるので、旧軽井沢の散策のついでに立ち寄る、というのがちゃんと成立します。
宿泊者じゃないわたしたちを、ちゃんと迎え入れてくれた空気
わたしたちは今回、アルプス館に宿泊していたのですが、最後の午後だけはチェックアウトしたあとにもう一度カフェテラスに戻って、紅茶を飲みました。
荷物はフロント横のクロークに預かってもらって、身軽になってから席へ。スタッフの方は「お帰りなさいませ」と小さく頭を下げてくれただけで、宿泊の有無をあらためて確認されることはありませんでした。
正確に言えば、「宿泊者専用の入り口」ではないのです。玄関を入ってロビーを横切れば、もうそこがカフェテラス。地元の方らしい高齢のご夫婦もいれば、軽井沢散策の途中に立ち寄ったと思われる若いカップルもいて、空気がぜんぜん閉じていませんでした。
隣の席で、男性が連れの女性に「ここ、泊まらなくても入れるんだよ」と小さな声で説明しているのが聞こえて、わたしは夫と目を合わせて、小さく笑ってしまいました。数日前のわたしたちも、同じことを話していたからです。
カフェテラスの内装は、良い意味でクラシックすぎません。焦げ茶色の木の柱と、クリーム色の壁。深い飴色のテーブルに、丸い背もたれの椅子。天井からは乳白色のガラスのペンダントライトが下がっていて、昼間でもぼうっと灯っています。
窓はやや大きめで、外の新緑がたっぷり差し込んできます。観光地の有名カフェ、という気負いがどこにもなくて、「いつもの喫茶店にふらっと入った」くらいの気安さで椅子に座れるのがありがたかったです。
カフェテラスの基本情報:営業時間とメニューのこと
カフェテラスの営業時間は、9:30〜18:00(ラストオーダー17:00)。アルプス館の1階にあります。席数は約100席強。テラス席は犬と一緒にも利用できるそうで、その日もテラス側に小さなトイプードルを連れたご夫婦が座っていました。
メニューは紅茶・コーヒーなどの飲み物と、伝統のアップルパイ・ニース風サラダなど。主要な価格帯は以下のとおりです。
| メニュー | 価格(税抜) |
|---|---|
| 伝統のアップルパイ | 1,100円 |
| ロイヤルミルクティー | 1,300円 |
| ニース風サラダ | 2,500円 |
上記とは別に、サービス料15%が加算されます。ロイヤルミルクティーは税込・サービス料込でだいたい1,495円前後。ホテルのラウンジ価格として、個人的には「想像より少し高いけれど、そこまで驚くほどではない」くらいの体感でした。
この「サービス料15%」の存在は、あとでお会計を見て「あ、ほんとだ」と気づくタイプなので、予算を立てるときは頭の片隅に置いておくと安心です。
どの時間帯が空いているか、実際に通って感じたこと
3回通って思ったのは、「時間帯によって空気がかなり違う」ということでした。おそらく同じカフェでも、朝9時に入ったわたしたちと、14時に入ったわたしたちでは、同じテーブルでも全然違う記憶を持って帰ったと思います。
朝の9:30〜11:00は、ほとんどのお客さんがホテル宿泊者で、朝食後のコーヒータイムとして使っている雰囲気。静かで、スタッフの方も比較的時間に余裕があるように見えました。
ランチタイム、つまり11:30〜14:00くらいが、いちばんお客さんの入れ替わりが激しい時間帯です。ニース風サラダや軽い食事を頼む方が多く、声の量も少し上がります。
そして、個人的にいちばん好きだったのが、15:00〜16:30の「アフタヌーン」の時間帯でした。ランチの波が引いて、お店がふっと静かになります。日の光が柔らかくなって、窓際の席がいちばん綺麗に見えるのもこの時間。
17:00のラストオーダーに向けて少しずつまた混みはじめるので、「ゆっくりお茶をしたい」なら14:30〜16:30の90分を狙うのが一番良い、というのがわたしたちの結論です。
ジョン・レノンが座った席と、壁の「猫の入り口」
カフェテラスのことを語るうえで、ジョン・レノンの話題は絶対に避けて通れません。
というより、「万平ホテル=ジョン・レノン」と覚えている方も多いのではないでしょうか。わたしの夫も完全にそっち側の人間で、軽井沢に行くと決まった時点で、「ジョンが座ってた席に行ってみたい」と真顔で言っていました。
4年間通い続けた家族の物語(1976-1979)
ジョン・レノンが家族で万平ホテルに滞在したのは、1976年の夏から。
妻のオノ・ヨーコさん、幼い息子のショーンさんと一緒に、その年から毎夏、4年連続で軽井沢にやってきていたそうです。1980年にも予約が入っていたそうですが、その年は音楽活動への復帰に時間を使い、軽井沢には来ませんでした。そして、その年の12月にあの事件が起きます。
4年間、毎年同じ宿に家族で泊まる。しかも、日本の、軽井沢の、木造のクラシックホテルに。
世界で最も顔が知られていたはずの人が、小さな息子の手を引いて、アルプス館の廊下を歩いていた。その光景を想像するだけで、なんだか胸のあたりがぎゅっとなります。
当時を知る方の話としてよく語られるのは、ジョンとヨーコが自転車で旧軽井沢の通りを走っていた、ということ。万平ホテルの自転車を借りて、家族で近所のベーカリーに行ったり、教会の前を通ったり。そういう「家族の夏休み」を、この宿を起点にして過ごしていたそうです。
壁を切ってまで助けた子猫のエピソード(伝承として)
カフェテラスの入口周辺、壁の一部分に、ちょっと不思議な切り方のされている箇所があります。
これにまつわる物語は、ホテルの支配人が折に触れて語っているそうです。
ある夏の夜、壁の中から子猫の鳴き声がする。様子を見に行ったジョンが「この子を助けなきゃ」と言って、スタッフに相談し、その壁の一部分を切って子猫を救い出した――そんな話が、言い伝えられているんだそうです。
本当のところは、もうその場にいた人たちしか知りません。でもこの話が、何十年もこのホテルで静かに語り継がれているというのが、わたしにはとても大事なことに思えました。
ロックスターとしてのジョン・レノンの顔ではなく、壁の中の小さな命の鳴き声に耳を傾けて、「なんとかしよう」と動いた、ひとりの父親としてのジョン。その痕跡が、こんな静かな軽井沢の宿のどこかに、壁の形としてちゃんと残っている。
夫は、壁の前にしゃがんでしばらく動きませんでした。わたしは「写真撮る?」と聞いて、彼は「いや、いい」と言いました。たぶん、撮らないほうがいい種類の場所なんだと思います。
ピアノと、奥の席に座って感じたこと
カフェテラスの奥のほう、窓際に、ちょっと特別な空気をまとった席があります。ジョン・レノンが、家族との滞在中に好んで座っていたと語り継がれている席です。
わたしたちが初日に訪れたときは、別のお客さんが座っていらっしゃったので、素通り。ただ、2日目の朝食後にもう一度行ったら、ちょうどその席が空いていました。
「座っていいんですかね」とスタッフの方に小声で聞いたら、「もちろん大丈夫ですよ」とにこやかに通してもらえました。
席について、窓の外を眺めてみました。白樺の幹。新緑の広葉樹。少し先にちらっと見える、アルプス館の外壁。
50年前の夏、ここから彼は何を見ていたんだろう、と考えました。セミの鳴き声。木漏れ日。ショーンさんがテーブルの向こうで退屈そうにしている姿。ヨーコさんが本を読む横顔。
夫はなにも喋らず、ただ窓の外を見ていました。わたしも話しかけずに、紅茶のカップを手のひらで包んでいました。それが3分か、5分か、もう少し長かったのか、正直覚えていません。
ひとつだけ覚えているのは、そのあと夫がぽつりと「いいね、この席」と言ったこと。それだけでした。
それから席を立って、ロビーの方に戻ると、フロント横に一台のアップライトピアノが置かれていました。ジョン・レノンが滞在中に弾いた、という、まさにそのピアノです。ヤマハのアップライト。
柵もガラスケースもなく、ただ静かに置かれていました。触ってはいけませんが、すぐ横に立って眺めることはできます。
夫はこの前でもしばらく動かなくて、「弾いてみたかったな」と小さく言いました。わたしは黙ってうなずきました。
MAP / ジョン・レノンの痕跡
カフェテラスに残る、ジョン・レノンの気配
1970年代、家族と何度も訪れたジョン・レノン。そのお気に入りの場所を、店内の配置とともに。
エントランス
木の扉を押すと、昭和の残り香。
ピアノ
ジョンが気ままに弾いたと伝わる一台。
窓辺の席
緑を望む、朝の光が特等席。
奥のソファ席
家族で過ごしたと言われる定位置。
写真の壁
当時の貴重なスナップが静かに並ぶ。
カウンター
アップルパイが焼き上がる場所。
誰でも触れられる状態ではないものの、そこに在るだけで時間が少し止まります。
伝え聞きの話ではありますが、奥の落ち着いた一角が定位置だったそう。座ると、たしかに理由がわかる場所です。
CHART / Saion Original
ロイヤルミルクティー 1,300円を、一口目で驚いた話
さて、ここからは本題のお茶とお菓子の話です。
カフェテラスに行ったら、わたしたちは絶対にこの紅茶を頼むと決めていました。
約50年前から変わらない淹れ方
メニューに載っているのは「ロイヤルミルクティー 1,300円」。ホテル公式の説明によれば、「約50年前にお客様のリクエストから生まれた当時のレシピを継承している」という表現になっています。
公式にはジョン・レノンの名前は載っていません。でも、カフェテラスで働くスタッフの方に少し聞くと、「あの時期のお客様から教わったレシピで、ずっと変わっていません」と、言葉を選ぶように答えてくれました。
「教わった」という言い方が、とても印象的でした。「作ってあげた」でも「オリジナルで考案した」でもなく、「教わった」。その謙虚さがこのホテルらしいなあ、と夫と話しました。
濃いと渋い、そのあいだにある美味しさ
銀色のポットに入って、ミルクピッチャーと一緒に運ばれてきます。カップは、白地に金の縁取りの、クラシカルなタイプ。
わたしたちは二人ぶん頼んでいたので、それぞれのカップに自分で注ぎました。そのあいだ、立ちのぼる湯気の中に、ちょっと独特の甘いような、香ばしいような匂いが混ざっていて、これはもう淹れ方の時点で違うんだな、と感じました。
最初の一口。
わたしは思わず「あ、濃い」と声に出してしまいました。
「濃い」と言っても、渋くて飲みにくいという意味ではありません。ミルクの甘みが下にしっかりあって、その上に紅茶の厚みが重なっている感じ。わたしが普段飲んでいるカフェのミルクティーとは、重心の位置が全然違うんです。
夫もひとくち飲んで、しばらく黙ってから「これ、ちゃんとミルクが主役だね」と言いました。
そうなんです。今どきの軽やかでさらっとしたミルクティーとは違って、これは、ミルクをしっかり煮出して、紅茶の香りで包んだような、どっしりとした一杯。
「紅茶に牛乳を足したミルクティー」ではなく、「ミルクを紅茶で仕立てた飲み物」と言ったほうが近いかもしれません。
ポットには2杯半くらい入っていました。最後のほうはさすがに少しぬるくなりましたが、それでも美味しさは変わらず、わたしたちはほとんど無言で2杯ずつ飲み干しました。
ジョン・レノンが教えたと「伝わる」、そのやわらかさ
このロイヤルミルクティーを、ジョン・レノンが当時のホテルのスタッフに作り方を伝えた――というのが、軽井沢で長く語られている話です。
ただし、万平ホテルの公式サイトは、そこまではっきりとは書いていません。「約50年前のお客様」という控えめな表現に留めています。
わたしはこの「控えめさ」が、このホテルの品の良さだと思いました。
「ジョン・レノン直伝!」と大きくPRしたらきっと売上は跳ねるはずです。でも、それをしない。名前を伏せたまま、ただその味だけを50年ずっと継承している。
一杯のミルクティーのなかに、そのホテルの姿勢が、じんわり溶けていました。
もしロイヤルミルクティーが苦手な方は、普通のコーヒーや紅茶のストレートも選べます。ただ、一度はぜひあのミルクティーを試してみてほしいです。「濃い」と思うかもしれませんが、それはきっと「美味しい濃さ」です。
伝統のアップルパイと、ニース風サラダ
ロイヤルミルクティーと必ずセットで頼みたいのが、カフェテラスの顔とも言えるアップルパイです。
伝統のアップルパイ 1,100円:外カリッ、中しっとりの正統派
ホテルで長く提供されている定番。リニューアル後もレシピはそのまま継承されているそうです。
運ばれてきたのは、温められたパイ生地に冷たいバニラアイスが添えられた、ひと皿。上からシナモンとパウダーシュガーがうっすら。
フォークで生地を切ると、「サク」と小さく音がしました。わたしは音だけでちょっと感動してしまって、夫に「聞こえた?」と聞いて、夫は「聞こえた」と笑っていました。
外側のパイはしっかり焼けていて、バターの香りが強め。中のリンゴはごろっとした大きさのままで、シャキッとした歯ごたえがまだ残っています。シナモンはきつくなくて、あくまでリンゴ本来の甘酸っぱさが主役。
バニラアイスが少しずつ溶けて、温かいパイと混ざっていくのを待ちながら食べるのがおすすめです。温かいと冷たい、カリッとしっとり、甘酸っぱい酸味とミルクの甘み――全部が一口のなかに重なる、あの瞬間が、本当に美味しい。
「あ、これ、昔からずっとこの味なんだろうな」と夫が言いました。
流行のアップルパイではありません。フォトジェニックな見た目でもありません。ただ、50年前に食べても、今食べても、たぶん50年後に食べても、同じように美味しいパイ。そういう確かさが、このお皿にはありました。
ニース風サラダ 2,500円:軽いランチにもなる
3回目の訪問のときに、「せっかくだから食事系も頼んでみよう」と頼んだのが、ニース風サラダでした。
大きめのお皿に、茹で卵、ツナ、インゲン、オリーブ、新じゃが、アンチョビ。下にはリーフレタスとトマト。ドレッシングはビネグレット系で、酸味がしっかり。
2,500円という価格は、サラダとしては決して安くありません。ただ、ボリュームはかなりあって、ランチとしても十分成立します。パンも一緒に運ばれてきて、わたしたち夫婦はこの一皿をシェアして、そのあと紅茶とアップルパイ、というコースでちょうど良かったです。
「午後のお茶」というよりは、「昼食と午後のお茶を兼ねたひと時」として使うなら、このサラダを軸にするのは賢い選択かもしれません。
カフェテラス vs メインダイニング:宿泊しないならどっち?
万平ホテルには、カフェテラス以外にもう一つ、宿泊しなくても予約すれば利用できるメインダイニングがあります。ここでちょっとだけ、二つを比べておきます。
メインダイニングのディナーコースは、21,000円にサービス料15%(2026年4月時点)。折上げ格天井とステンドグラスの大空間で、信州の食材を使ったフランス料理のコースをいただけます。
正直に言います。もしも「万平ホテルでしっかり食事体験をしたい」「記念日に贅沢したい」ならメインダイニング一択です。あの空間で食べるコースには、価格以上の重みがあります。
ただし、「軽井沢散策のついで」「宿泊しない日に雰囲気だけ味わいたい」「ふたりで1万円以内で抑えたい」という場合は、完全にカフェテラスのほうが向いています。
カフェテラスでロイヤルミルクティー+アップルパイを二人で頼んでも、サービス料込みで5,500円前後。「軽井沢でちょっといい午後」として、ちょうどいいラインだと思います。
ちなみに、わたしたちが宿泊時のメインダイニングでどんな夕食をいただいたかは、万平ホテル総合宿泊記で詳しく書いています。夕食・朝食・愛宕館見学まで含めた宿泊レビューなので、泊まるかどうか検討している方は、こちらも合わせて読んでみてください。
宿泊しなくても叶うこと/宿泊してこそ叶うこと
これは、カフェテラスに3回通った末にわたしたちがたどり着いた結論です。
カフェテラスだけでも「叶う」ことは、思っていた以上にたくさんありました。一方で、「宿泊しないと叶わない」ことも、やっぱりありました。正直にリスト化してみます。
カフェテラスだけで十分叶うこと
- ジョン・レノン愛飲のロイヤルミルクティーを味わう
- 伝統のアップルパイを食べる
- ロビーのアップライトピアノに近づいて眺める
- 壁の「猫の入り口」を探して、静かに手を合わせる
- ジョン・レノンが好んで座ったと伝わる席に、運がよければ座る
- アルプス館のクラシックな建築を、正面から見上げる
- 旧軽井沢銀座散策と組み合わせて、半日コースを作る
宿泊しないと叶わないこと
- アルプス館の昭和初期の客室で、軽井沢彫の家具に囲まれて眠る
- 愛宕館で塩沢温泉の客室内風呂に入る(大浴場はありません)
- 折上げ格天井のメインダイニング「欅」でのディナーコース
- 早朝、誰もいない時間帯にロビーやラウンジを独占する感覚
- 客室のリファドライヤーとモルトンブラウンのアメニティ
- 静かな夜に、昭和初期のすりガラスのペンダントライトの下を歩く
こうして並べてみると、「宿泊」と「カフェのみ」のあいだには、やっぱり大きな差があります。
でも、それは「カフェじゃ足りない」という意味ではありません。
むしろ、カフェテラスは、「いつか泊まってみたいな」という気持ちをゆっくり育ててくれる、そんな入口です。紅茶一杯から、次の旅の計画がふわっと生まれる。そういう場所って、そんなに多くありません。
カフェテラスへのアクセスと予約
旧軽井沢銀座から徒歩5分、軽井沢駅からタクシー5分
万平ホテルの場所は、旧軽井沢エリアの一番奥のほうです。
JR軽井沢駅からタクシーだと約5分、距離にして2キロちょっと。歩いてもなくはないのですが、20分以上かかるうえ、道がわりとゆるやかな登り坂なので、あまりおすすめはしません。
おすすめは、旧軽井沢銀座通りとセットにする行き方です。軽井沢駅→タクシーまたはバスで旧軽井沢バス停まで→旧軽井沢銀座をゆっくり散策しながら、通りの突き当たりをさらに奥へ5分ほど進むと、万平ホテルのアルプス館が見えてきます。
帰りも、万平ホテルから旧軽井沢銀座までは下り坂なので、散策と組み合わせると体力的にもちょうどいいです。
わたしたちは3回目の訪問のとき、旧軽井沢銀座を通ってからカフェテラスに向かったのですが、これが想像以上によかったです。観光通りの賑やかさをいったんくぐり抜けて、急に静かな小径に入って、その奥にあの建物が立っている。その「落差」自体が、万平ホテル体験の一部になっていました。
途中には、ジョン・レノンが通ったと伝わる軽井沢フランスベーカリーもあります。あわせて立ち寄ると、「あの家族の夏休み」をもう一歩踏み込んで追体験できる気がしました。
LINE順番待ち+電話予約(0267-42-1234)
カフェテラスは、完全予約制ではありません。ただ、ピーク時間帯(土日の13:00〜15:00あたり)は席が埋まりやすいので、予約か、LINE順番待ちを使ったほうが安心です。
予約方法は基本的に2つ。
- 電話予約:0267-42-1234(ホテル代表)
- LINEの順番待ち受付(店頭でQRコードから登録)
ウォークインでも入れる日はあります。わたしたちの初日(平日午後)は、予約なしですぐに通してもらえました。ただ、2日目の土曜の昼過ぎは、LINE順番待ちで30分ほど待ちました。
「待っても入りたい」なら、待ち時間のあいだに旧軽井沢を少し歩くのがおすすめです。LINEで順番が近づくと通知が来るので、散策しながらゆっくり戻れます。
💬 夫から一言
「予約なしで行くなら、絶対に平日の午後がいい。土日だと、ピーク時間は諦めて15:30以降を狙うのが現実的だと思う。お茶だけなら回転が早い時間帯もあるから、そんなに絶望することはない」
気になったところ:正直に2つ
カフェテラスは本当に素敵な空間でしたが、「ここだけは正直に書いておきたい」というポイントを、2つだけ。
1. 混雑時間帯は、思った以上に騒がしい
ランチタイム(12:00〜14:00)と、特に土日のアフタヌーンタイム(14:00〜16:00)は、席数が多い分だけ、お客さんの声のボリュームも上がります。
「クラシックな静かなカフェ」というイメージでいくと、ちょっと面食らうかもしれません。わたしたちが訪れた2日目の土曜午後は、隣のテーブルの会話がしっかり聞こえるくらいには賑やかでした。
静かに過ごしたい方は、朝一番(9:30〜10:30)か、アフタヌーンが落ち着いた15:30以降がおすすめです。
2. サービス料15%で、思ったより会計が上がる
メニュー表示はすべて税抜・サービス料別です。
ロイヤルミルクティー1,300円と伝統のアップルパイ1,100円を頼むと、メニュー上は2,400円。ここに税とサービス料15%が加わって、実際の支払いは二人で5,500円前後になります。
ラウンジ価格としてはわりと標準的なラインなのですが、最初にメニューを見たときの「2,400円ならお茶代としてちょうどいいな」の感覚と、会計時の体感がけっこう違うので、先に計算しておくと驚かずに済みます。
カフェテラスから始まる、万平ホテル体験のステップアップ
わたしたちがカフェテラスに3回通って思ったのは、「ここは万平ホテル体験の入口として完璧に設計されている」ということでした。
もしこの記事を読んで、「ちょっと行ってみたいかも」と思ってくれた方がいたら、こんなステップがおすすめです。
ステップ1:まずカフェテラスで1,300円のロイヤルミルクティー
日帰りでも、軽井沢観光のついででもOK。一杯のミルクティーから、このホテルの空気を味見してみてください。壁の「猫の入り口」を探して、ロビーのピアノを眺めて、それだけで2時間は過ごせます。
ステップ2:宿泊して、3館のどれかに泊まる
カフェテラスで気に入ったら、次は1泊。アルプス館(昭和初期の味わい)、愛宕館(温泉付き・2024年新築)、碓氷館(クラシカルで静か)の3館があって、それぞれに違う魅力があります。詳しくは万平ホテル総合宿泊記をどうぞ。
ステップ3:もっと深く知りたいなら、130年の歴史を
1894年に創業してから、ジョン・レノンの4年間、2024年のリニューアルまで。このホテルがどうやって「変わらないまま、変わる」ことを続けてきたのか。歴史の物語は、体験の奥行きをぐっと深めてくれます。
基本情報まとめ
| 店名 | カフェテラス(万平ホテル内) |
|---|---|
| 所在地 | 〒389-0102 長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢925 万平ホテル アルプス館1階 |
| 営業時間 | 9:30〜18:00(ラストオーダー17:00) |
| 定休日 | なし(通年営業) |
| 席数 | 約100席強(テラス席あり) |
| 犬同伴 | テラス席で可 |
| 宿泊者以外 | 利用可 |
| 予約 | 電話(0267-42-1234)またはLINE順番待ち |
| 主なメニュー | 伝統のアップルパイ1,100円/ロイヤルミルクティー1,300円/ニース風サラダ2,500円(すべて税抜・別途サービス料15%) |
| アクセス | JR軽井沢駅よりタクシー約5分、旧軽井沢銀座から徒歩約5分 |
※料金・営業情報は2026年4月時点のものです。
Saion独自スコア:カフェテラス体験
| 夫の感動度 | ★★★★★(ピアノの前で動かなくなった) |
|---|---|
| 妻の満足度 | ★★★★☆(混雑時間帯の騒がしさだけ減点) |
| ロイヤルミルクティーの濃さ | ★★★★☆(軽やか好きには濃いめ、わたしたちには適温) |
| アップルパイの正統派度 | ★★★★★(流行追わない、揺るぎない味) |
| おすすめ時間帯 | 平日なら14:30〜16:30、土日なら9:30〜10:30 |
| 宿泊しない日の満足度 | ★★★★★(1,300円で入れるこの空気は破格) |
| また行くか | ★★★★★(次は宿泊前日の夕方に再訪予定) |
万平ホテルに泊まることを考えはじめた方へ
カフェテラスに行って、「やっぱり一度は泊まってみたい」と思った方のために、予約リンクをいくつか置いておきます。わたしたちもいくつかの予約サイトを並べて見比べてから決めました。サイトによって部屋タイプの在庫やプランが少しずつ違うので、時間がある日にまとめて比較するのがおすすめです。
特に3館のうち客室数の少ないアルプス館(12室)と、愛宕館のテラス付プレミア(10室)は、夏場や連休はかなり早い段階で埋まっていく印象でした。どの館に泊まるか迷う方は、万平ホテル総合宿泊記をどうぞ。3館の違いもそこに書いています。
まとめ:宿泊しなくても、万平ホテルは迎え入れてくれる
カフェテラスをチェックアウト後に最後にもう一度訪れたとき、窓際の席に案内されたわたしたちは、ほとんど喋りませんでした。
夫は、ロイヤルミルクティーをゆっくり飲んでいました。わたしは、アップルパイの最後のひとかけらを、時間をかけて口に運んでいました。
窓の外で、午後の光が少しずつ傾いていきました。テラス席にいた犬連れのお客さんが帰り支度をはじめ、代わりに高齢のご夫婦が案内されてきて、静かに席に着きました。
ジョン・レノンが4年間、毎夏ここに戻ってきた理由が、少しだけわかった気がしました。
彼にとって、このカフェテラスの席は、たぶん「世界で一番有名な人」でいなくていい場所だったんじゃないか、と思います。ただ夫で、ただ父親で、ただ一人の紅茶好きでいられる場所。
わたしたちには、そこまでの必要はありません。でも、日常のいろんなものから少しだけ離れて、向かい合った相手とぽつぽつ話す時間は、人間にはやっぱり必要だなあ、と改めて思いました。
1,300円のミルクティー一杯で、それが手に入る。
軽井沢に行くなら、あるいは、軽井沢の予定がなくても、次の休みにわざわざそのために電車に乗ってみてもいいんじゃないか、と思うくらいの場所でした。
わたしたちはもう、次の訪問のタイミングを相談しはじめています。今度は、宿泊前日の夕方にチェックイン前のお茶として、もう一度。そのあと旧軽井沢を散歩して、チェックイン時間ぴったりにアルプス館に戻る――そんな一日を、ふたりで組み立てているところです。
――ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
もしこの記事を読んで、「一度は行ってみたいな」と思ってくれたなら、それだけでわたしたちはとても嬉しいです。
カフェテラスは、予約なしでも入れる日があります。電話一本で席を取ることもできます。1,300円のミルクティー一杯で、130年の時間の端っこにふれることができます。
もし宿泊まで考えはじめたら、総合宿泊記も覗いてみてください。3館のどれに泊まるかを決める材料になるはずです。
軽井沢の夏は、思っているより早く予約が埋まります。気になった方は、カレンダーを開いて、「次の金曜日の午後」を確保するところから始めてみてください。
次の旅で、あのミルクティーがあなたの手元にも届きますように。
――Saion(彩音)より
画像引用元
アイキャッチ画像は著作権法第32条「引用」の規定に基づき、万平ホテル公式サイトより出典を明記の上で使用しています。

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