愛媛には、思わず黙ってしまう景色がある
愛媛に行く前、正直なところ「道後温泉と松山城くらいかな」と思っていた。
でも、3泊4日で愛媛をぐるっとまわってみたら、その認識は完全にひっくり返った。海に沈む夕日、天空のカルスト台地、西日本最高峰の山、歴史ある城下町。ひとつの県に、これだけの絶景が詰まっているとは思わなかった。
夫は帰りの飛行機で「愛媛、ちょっとすごくない?」と何度も言っていた。わたしも同意する。愛媛は、もっと知られていいと思う。
こんなふたりにおすすめ:
- 定番の観光地だけでは物足りないカップル
- 絶景ドライブと温泉を両方楽しみたいふたり
- 写真映えするスポットをめぐりたい旅好き
① 🏯 松山城 ー 街を見下ろす、現存天守の風格
まず向かったのは松山城。松山市の中心部にある、標高132メートルの勝山の山頂に建つ城。現存12天守のひとつで、江戸時代の姿がそのまま残っている。
ロープウェイ(またはリフト)で8合目まで上がり、そこから徒歩で天守を目指す。わたしたちはリフトを選んだ。足をぶらぶらさせながら木々の上を通過していくのが、ちょっとしたアトラクション気分で楽しい。
天守に着いて中に入ると、急な階段がいくつも続く。木の匂いがして、床板がきしむ。この「本物感」が現存天守のいいところだと思う。復元された城にはない、歴史の重みが足の裏から伝わってくる。
最上階からの眺めが、とにかく気持ちいい。松山の街がぐるりと見渡せて、遠くには瀬戸内海も見える。夫は「ここで殿さまは毎日この景色を見てたのか」と感心していた。
天守閣への入場料は大人520円。ロープウェイ・リフトは往復520円。合わせて1,040円で、この景色と体験が得られるなら十分すぎる。
② ♨️ 道後温泉 ー 3000年の歴史を肌で感じる
松山に来て道後温泉に入らないという選択肢はなかった。
道後温泉本館は、2024年7月に保存修理工事を経てグランドオープンしている。外観はあの有名な三層構造がきれいに蘇っていて、夕方に灯りがともると幻想的。
わたしたちは「霊の湯」(れいのゆ)に入った。入浴料は大人1,300円(2階席利用付き)。お湯は無加温・無加水の源泉かけ流しで、ほんのりとろみがある。肌にすうっと馴染む感じ。
夫はお湯から上がったあと、2階の休憩室でお茶とお菓子をいただきながら「ここ、最高」と繰り返していた。畳に座って、窓から道後の街並みを眺めながら、ぼーっとする時間。それだけで来た甲斐がある。
温泉街の商店街もぶらぶら歩いた。みかんジュースの蛇口(本当にある)で、3種類のみかんジュースを飲み比べ。夫は「甘平(かんぺい)が好き」、わたしは「せとか派」。こういう小さな意見の分かれ方が、ふたり旅のおもしろいところだと思う。
③ 🚉 下灘駅 ー 海に最も近い駅の、あの夕暮れ
下灘駅(しもなだえき)は、「海に最も近い駅」として知られるJR予讃線の無人駅。
松山市内から車で約50分。海沿いの細い道を走って、小さな集落を抜けた先にある。駅そのものは、ホームとベンチと屋根だけのシンプルな無人駅。でも、ホームの目の前に広がるのは、さえぎるもののない瀬戸内海。
わたしたちは夕方を狙って行った。
太陽が海に向かってゆっくり沈んでいく。空がオレンジから紫に変わり、海面がきらきらと光る。ホームのベンチに座って、ふたりで何も言わずにその光景を見ていた。
「言葉にならないね」と夫が言った。まさにその通りだった。
写真スポットとして有名なので、夕方はカメラを持った人が集まる。わたしたちが行った日も10人ほどいたけど、ホームが広いのでそこまで窮屈には感じなかった。ただ、もっと静かに楽しみたいなら、平日や早朝がいいかもしれない。
ひとつ気をつけたいのは、列車の本数が少ないこと。電車で来る場合は時刻表の確認が必須。1時間に1本あるかないかの区間なので、乗り遅れると大変。わたしたちは車で行ったので問題なかったけど、駐車場は駅から少し離れた場所にあって、数台分しかない。
④ ⛰️ 石鎚山 ー 西日本最高峰の圧倒的なスケール
石鎚山は標高1,982メートル。西日本で最も高い山であり、古くからの修験道の霊場でもある。
わたしたちはロープウェイを使って山頂成就駅(1,300メートル地点)まで上がり、そこから成就社まで歩いた。ロープウェイは大人往復2,200円。
山頂のさらに上まで登るには本格的な登山装備が必要だけど、ロープウェイ駅から成就社までの約20分の山道だけでも、十分に石鎚山の雰囲気は味わえる。
ロープウェイを降りた瞬間、空気が変わった。下界とは明らかに違う、冷たくて澄んだ空気。深呼吸すると、肺のすみずみまで洗われるような感覚。
成就社の境内から見上げる石鎚山の山頂は、ごつごつとした岩肌がむき出しになっていて、迫力がある。夫は「あそこまで登る人がいるのか…」と上を見上げてつぶやいていた。修験道の鎖場は見るだけでも足がすくむ。
この日は天気がよくて、遠くの山並みまで見渡せた。ただ、山の天気は変わりやすい。わたしたちが下りのロープウェイに乗った頃には、もう雲がかかり始めていた。晴れている時間帯は貴重なので、朝早めに行くのがいいと思う。
⑤ 🌿 四国カルスト ー 日本にこんな場所があったのか
今回の愛媛旅行で、いちばん衝撃を受けた場所がここ。四国カルスト。
標高約1,400メートルの高原に広がるカルスト台地。白い石灰岩がごろごろと点在する草原が、どこまでも続いている。
松山市内から車で約2時間。山道をぐいぐい登っていくと、突然、視界が開ける。夫が「え、なにここ」と声を上げた。わたしも同じ気持ちだった。
日本にこんな場所があるとは思わなかった。
見渡す限りの緑の草原に、白い岩がぽつぽつと立っている。放牧されている牛がのんびり草を食んでいる。空が近い。風が強い。そして、静かだ。
夫が「モンゴルみたい」と言ったのがおかしかった(モンゴルに行ったことはないくせに)。でも、確かに日本離れした景色ではある。
「姫鶴平(めづるだいら)」の展望台から見る360度の眺望は圧巻。晴れた日は太平洋まで見えるらしい。わたしたちが行った日は少し霞んでいたけど、それでも十分に広大な景色を堪能できた。
カルスト台地の上を散策できる遊歩道もあって、30分ほど歩いた。足元の草をかき分けながら岩の間を歩くのは、ちょっとしたハイキング気分。牛がすぐそばまで来て、夫がびっくりして後ずさりしていたのは、いい思い出。
🍊 愛媛グルメ ー 旅の合間に食べたもの
絶景スポットの話ばかりになったけど、愛媛のグルメも忘れられない。
鯛めし(松山・宇和島スタイル)
愛媛の鯛めしには、松山式(炊き込み)と宇和島式(生卵と刺身をかける)の2種類がある。わたしたちは両方食べた。個人的には宇和島式が衝撃だった。新鮮な鯛の刺身に、甘めのたれと生卵を絡めて、ごはんにのせる。夫が一口食べて「うまい」としか言わなくなった。3分くらいずっと無言で食べていた。
じゃこ天
道後温泉の商店街で揚げたてを買った。魚のすり身を平たく揚げたもので、外はカリッと、中はふわっと。ビールに合いそうだけど、温泉のあとだったのでお茶と一緒に。素朴だけど、揚げたてのじゃこ天はふだん食べるものとはレベルが違う。
みかんスイーツ
愛媛はとにかくみかん推し。ジュース、ジェラート、タルト、ゼリー。あちこちでみかんスイーツが売っている。なかでも「みかんソフトクリーム」は3回食べた。毎回「もう食べなくていい」と思うのに、お店を見かけると吸い寄せられてしまう。夫に「またか」と笑われたけど、美味しいんだからしょうがない。
🚗 移動のコツ ー 愛媛はレンタカー一択
5つのスポットをまわるなら、レンタカーは必須だと思う。
松山空港でレンタカーを借りて、4日間で走った距離は約450キロ。四国カルストへの山道が特に長いけど、道自体は整備されていて、運転の難易度は高くない。ただし、カーブが多い区間は夫でも少し疲れていた。
ガソリンスタンドは松山市内や主要道路沿いにはあるけど、石鎚山や四国カルスト周辺は少ない。山に入る前に給油しておくのが安心。わたしたちはうっかり給油を忘れて、四国カルストからの帰りにひやひやした。夫が「もうちょっと早く言ってよ」と言っていたけど、気づいたのはわたしのほうが先だった(黙ってただけ)。
駐車場は、松山城と道後温泉以外は無料の場所が多い。松山城周辺は有料駐車場(30分100円程度)を利用した。道後温泉は温泉施設利用で割引になる駐車場がある。
✨ 良かったところ
1. 絶景のバリエーションが豊富
海、山、高原、城、温泉。ひとつの県にこれだけ多彩な景色が詰まっている。何日いても飽きない。
2. 道後温泉は期待通り、それ以上
3000年の歴史は伊達じゃない。お湯の質、建物の風情、温泉街の雰囲気。すべてが「本物」だった。
3. 四国カルストの衝撃
知らなかった。行ってよかった。あの景色は、愛媛に来る理由としてそれだけで十分。
4. 観光地なのに混みすぎていない
京都や大阪に比べると、どのスポットも人が少なめ。ゆっくり自分たちのペースで楽しめる。
5. みかんジュースが異次元の美味しさ
蛇口から出てくるみかんジュース、冗談かと思ったら本気だった。種類ごとの飲み比べが楽しすぎて、3杯飲んだ。
😥 気になったところ
1. アクセスが不便なスポットが多い
四国カルストは松山から車で2時間、石鎚山もそこそこ遠い、下灘駅は電車の本数が少ない。レンタカーがほぼ必須だと思う。公共交通機関だけで5か所すべてをまわるのは、かなり難しい。
2. 天候リスクが大きい
石鎚山は雲がかかりやすく、四国カルストも霧が出ると何も見えなくなる。下灘駅の夕日も天気次第。わたしたちは3泊4日のなかで天気のいい日を選んで回ったけど、1泊2日だと天候に左右されるリスクが高い。余裕のある日程をおすすめしたい。
3. 四国カルストは秋〜春が制限あり
四国カルストへ向かう県道は、冬季(12月〜3月頃)は積雪・凍結で通行止めになることがある。わたしたちは4月に行ったけど、年によってはまだ通行止めの時期もあるらしい。事前に道路情報を確認しておいたほうがいい。夏は涼しくて気持ちいいけど、それでも日差しは強いので帽子と水分は必須。
📋 基本情報まとめ
| スポット | 所在地 | 料金 | 所要時間(目安) |
|---|---|---|---|
| 松山城 | 松山市丸之内1 | 天守 520円 / ロープウェイ往復 520円 | 約1.5〜2時間 |
| 道後温泉本館 | 松山市道後湯之町5-6 | 霊の湯 1,300円(2階席付き) | 約1〜1.5時間 |
| 下灘駅 | 伊予市双海町大久保 | 無料 | 約30分〜1時間(夕日待ち含む) |
| 石鎚山 | 西条市西之川 | ロープウェイ往復 2,200円 | 約2〜3時間(ロープウェイ+成就社まで) |
| 四国カルスト | 上浮穴郡久万高原町 | 無料 | 約1〜2時間(散策込み) |
🗓️ モデルコース(3泊4日)
わたしたちが実際にまわった順番をベースに、モデルコースを書いておく。
1日目: 松山城 → 道後温泉
松山空港に着いたら、まず松山城へ。午後は道後温泉でゆっくり。温泉街のぶらぶら歩きと、みかんジュース飲み比べ。宿は道後温泉周辺がおすすめ。
2日目: 下灘駅(夕方) → 途中のカフェでランチ
午前中は松山市内を散策。午後から下灘駅方面へ移動。夕日の時間に合わせて駅に到着するのがベスト。日没の1時間前には着いておきたい。
3日目: 石鎚山
朝から石鎚山へ。ロープウェイで上がって、成就社まで散策。山の天気は午前中がいいので、早めに出発。午後は宿に戻って休むか、近くの温泉へ。
4日目: 四国カルスト → 帰路
最終日に四国カルスト。松山から約2時間かかるので、早めの出発を。姫鶴平の展望台で景色を堪能してから、松山空港へ戻る。
🏔️ まとめ ー 愛媛にまた行くか?
行く。というか、もう次のプランをぼんやり考えている。
今回は3泊4日で5か所まわったけど、正直、もう少しゆっくりしたかった。特に四国カルストはもう一度、もっと時間をかけて行きたい。夕日の時間帯のカルスト台地がどんな景色になるのか、見てみたい。
愛媛は「行ってみたら想像以上だった」という場所が多い。道後温泉は有名だけど、四国カルストや下灘駅は、まだ知らない人も多いんじゃないかと思う。
夫が帰りの飛行機のなかで「愛媛、ちょっと推していきたい」と言っていた。ふだん使わない言い回しなので笑ってしまったけど、気持ちはわかる。愛媛は、ふたりにとって「また帰りたくなる場所」になった。
もし愛媛の旅を考えているなら、3泊以上がおすすめ。1泊2日では、この県の奥行きは味わいきれない。時間に余裕を持って、ゆっくりまわってほしい。きっと、「こんな場所があったのか」という驚きに何度も出会えるはずだから。

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