瀬戸内の橋を渡る、ゆるくて最高のドライブデート
しまなみ海道を走りながら、夫が「なんで今まで来なかったんだろう」と言った。
窓を少し開けると、潮の匂いが車内に入ってきて、目の前には青い海の上に白い橋がまっすぐ伸びている。信号もない、渋滞もない、ただ海の上を走っているだけ。それだけで、ふたりとも笑顔になっていた。
しまなみ海道は、ドライブ好きのふたりにとって「もっと早く行けばよかった」場所のひとつになった。
こんなふたりにおすすめ:
- 海の見えるドライブルートを探しているカップル
- 島でのんびり寄り道を楽しみたいふたり
- フォトスポットも食も両方ほしい欲張り派
🚗 ルート・アクセス
しまなみ海道は、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ全長約60キロの道。瀬戸内海に浮かぶ6つの島を7つの橋で渡っていく。
わたしたちは尾道側からスタートした。尾道ICから西瀬戸自動車道(しまなみ海道)に入ると、すぐに最初の橋「新尾道大橋」が見えてくる。
全線を走りきるだけなら1時間ちょっと。でも、途中の島でごはんを食べたり、景色を眺めたりしながら寄り道すると、半日から1日はあっという間に過ぎる。わたしたちは朝9時に出発して、今治に着いたのは夕方4時すぎ。たっぷり遊んだ。
通行料金はETC利用で普通車の場合、尾道〜今治の全線で約2,500円前後(時期による変動あり)。料金所は各橋ごとにあるわけではなく、入口と出口で精算されるので、そこまで気にならない。
🌊 最初の橋を渡った瞬間
しまなみ海道の醍醐味は、やっぱり橋からの景色。
最初の橋を渡りはじめたとき、左右に広がる瀬戸内海の青さに、思わず「きれい…」と声が出た。夫は運転しながら「前見ろよ」と言いつつ、自分もちらちら横を見ていた。
橋の上は高度があるので、海がかなり下に見える。小さな島が点々と浮かんでいて、白い波が立っている。天気がいいと水面がきらきら光って、ずっと見ていられる。
ただし、橋の上は風が強い。この日もかなり吹いていて、車が揺れるくらいだった。窓を開けると風がごうごうと入ってきて、会話が聞こえにくくなる場面も。
🏝️ 大三島 ー 大山祇神社とのんびりした空気
最初の寄り道は大三島(おおみしま)。しまなみ海道のほぼ中間地点にある、6つの島のなかでもいちばん大きい島。
ここに来た目的は、大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)。日本で唯一の「山の神・海の神・戦の神」を祀る神社で、全国の山祇神社の総本社でもある。
境内に入ると、まず目に入るのが樹齢2600年と言われる大楠。幹の太さに圧倒される。夫が「この木、何を見てきたんだろう」としみじみ言っていた。
宝物館には全国の国宝・重要文化財の武具甲冑の約8割が収められているらしく、歴史好きの夫は目を輝かせていた。わたしはそこまで詳しくないけど、実物の鎧を間近で見ると、戦国時代の重みのようなものがずしんと伝わってくる。
神社の周辺はとにかく静か。観光客もまばらで、のんびりとした島の空気に包まれる。コンビニもチェーン店もなくて、それがいい。
🍋 生口島 ー レモンの島でごはんとスイーツ
大三島を出て、次に向かったのは生口島(いくちじま)。国産レモン発祥の地として知られる島で、島のあちこちにレモンの木がある。
ランチは島内の小さなカフェで。レモンを使ったパスタとレモネードを注文した。レモンパスタは、オリーブオイルベースのシンプルな味付けに、レモンの酸味がきゅっと効いていて、さっぱりしている。ドライブの途中にぴったりだった。
夫はレモネードを飲んで「レモン、フレッシュすぎて笑う」と言っていた。確かに、ふだんスーパーで買うレモンとは香りの強さがまるで違う。皮まで食べられる国産レモンの実力を感じた。
食後は「島ごと美術館」を散策。生口島では、島全体を美術館に見立てて、あちこちに現代アートの野外彫刻が設置されている。ビーチに突然オブジェがあったり、道端にアート作品が立っていたり。偶然見つけるのが楽しくて、「あ、あそこにもある!」とふたりで指さしながら歩いた。
ジェラート屋さんで、レモンジェラートも食べた。酸味と甘みのバランスが絶妙で、口のなかがすっと爽やかになる。夫はしまなみレモンとバニラのダブルにしていたけど、「レモンだけでよかった」と少し後悔していた。
🏖️ 伯方島 ー 「伯方の塩」の島を通り過ぎるわけにはいかない
生口島のあと、大三島を経由して伯方島(はかたじま)へ。「は・か・た・の・しお」のCMでおなじみの、あの伯方の塩の産地。
島に着いてまず向かったのは「伯方塩業 大三島工場」の見学施設。塩づくりの工程が展示されていて、試食もできる。にがりを含んだ塩を舐めると、しょっぱいだけじゃなくて、ほんのり甘みがある。夫は「塩って甘いんだ」と意外そうな顔をしていた。
売店で買った「塩ソフトクリーム」がまた美味しい。バニラの甘さに、塩のきりっとした味が効いていて、後味がさっぱりしている。暑い日のドライブ中に食べるソフトクリームとしては、かなり上位。
伯方島は小さな島だけど、ビーチがきれい。「沖浦ビーチ」の砂浜は白くて、水の透明度が高い。泳ぐ季節ではなかったけど、砂浜を歩くだけで気持ちよかった。夫が石を拾って水切りをはじめて、3回連続で失敗していた。「向かい風が…」と言い訳していたけど、たぶん腕の問題だと思う。
🌅 途中で見つけた絶景ポイント
しまなみ海道を走っていると、橋と橋のあいだにちょっとした展望台や休憩所がいくつもある。地図に載っていない、小さなスペースに車を停めて海を眺める時間が、実はいちばん贅沢だったかもしれない。
大三島と伯方島を結ぶ「大三島橋」のたもとに、小さな公園があった。ベンチがふたつだけ置いてあって、誰もいない。橋を見上げながら、持ってきていた缶コーヒーを飲んだ。夫が「こういうのがいいんだよ」と言った。わたしもそう思う。
しまなみ海道は、有名なスポットだけじゃなく、こういう「名もない絶景」が道中にたくさんある。ナビに出てこない場所こそ、ふたりだけの思い出になる。
🌉 来島海峡大橋 ー しまなみ海道のクライマックス
しまなみ海道の最後を飾るのが、来島海峡大橋(くるしまかいきょうおおはし)。全長約4キロ、世界初の三連吊橋。
この橋を渡る瞬間が、ドライブのハイライトだった。
橋の両側に広がる来島海峡の景色は、それまでの橋とはスケールが違う。海峡の潮流が渦を巻いているのが上から見えて、夫が「海、めっちゃ動いてる」と驚いていた。
橋を渡りきって今治側に降りたとき、「走りきったね」という達成感があった。約60キロの海の道を、6つの島を経由して走り抜ける。ただのドライブなのに、ちょっとした冒険をした気分になるのが、しまなみ海道のすごいところだと思う。
🍽️ 今治で食べた焼豚玉子飯
しまなみ海道を渡りきって今治に到着。遅めのランチを食べようと、今治のB級グルメ「焼豚玉子飯(やきぶたたまごめし)」を出すお店に入った。
見た目はシンプル。ごはんの上に甘辛いたれで煮た焼豚がのって、その上に半熟の目玉焼きがふたつ。「え、それだけ?」と思ったけど、食べてみたら印象が変わった。
半熟の黄身を崩して、たれの染みたごはんと焼豚を一緒に頬張る。甘辛い味付けと、とろっとした卵のコンビネーションが想像以上に合う。夫が「これ、家でも作れそうで作れないやつだ」と言っていた。たしかに、この甘辛だれの加減は家庭では再現できない気がする。
量もしっかりあって、お値段は800円ほど。ドライブの締めくくりにちょうどいいボリュームと満足感だった。
🚲 サイクリングは断念した話
しまなみ海道と言えばサイクリングの聖地。本当は自転車でも走りたかった。
でも、この日は風がかなり強くて、断念した。橋の上は地上より風が強くなるので、強風の日にサイクリングは正直危ない。レンタサイクルの受付のスタッフさんにも「今日は橋の上、かなり吹いてます」と言われた。
夫は「自転車で渡りたかったなあ」としばらく残念そうだった。でも、車で走るだけでも十分すぎるほどの絶景だったので、サイクリングは次回のお楽しみにした。
次は風のおだやかな日を狙って、レンタサイクルで半分だけでも走ってみたい。尾道から生口島までの区間は初心者でも走りやすいらしいので、そこを目標にしようと話している。
🛍️ 道の駅の混雑について
しまなみ海道沿いにはいくつかの道の駅がある。わたしたちは「道の駅 多々羅しまなみ公園」に立ち寄ったのだけど、これがかなり混んでいた。
土曜日のお昼前だったのもあると思う。駐車場に入るまでに10分以上待って、お土産コーナーもレジに行列。フードコートも空席待ち。
景色は最高で、多々羅大橋を間近に見られるロケーションなのだけど、混雑を避けるなら早めの時間に寄るか、平日を狙ったほうがいいかもしれない。
夫は「道の駅じゃなくて、島の小さいお店で買えばよかった」と言っていた。確かに、島内の個人経営のお土産屋さんのほうが、ゆっくり選べるし、掘り出し物がある。地元のおばあちゃんが作ったレモンジャムを買えたのは、大三島の小さなお店だった。
✨ 良かったところ
1. 橋からの景色が想像以上
テレビや写真で見るのと、自分で走るのとでは、まったく違う体験。特に来島海峡大橋からの眺めは、わたしたちが走ったドライブルートのなかでもトップクラス。
2. 島ごとに個性があって飽きない
大三島は神社と静けさ、生口島はレモンとアート、伯方島は塩。それぞれの島に色があって、橋を渡るたびに新しい発見がある。
3. ごはんが美味しい
レモンパスタ、レモネード、ジェラート、めはり寿司。島ごとに名物があって、食べ歩きだけでも楽しい。海の幸も豊富で、刺身定食を出すお店もあちこちにある。
4. ドライブのちょうどいい距離感
全線60キロ。半日でも1日でも、自分たちのペースで楽しめる。疲れたら途中の島で休めばいいし、もう一泊するという選択肢もある。
😥 気になったところ
1. 強風の日はサイクリングが難しい
しまなみ海道のサイクリングを楽しみにしていたのに、風が強くて断念。橋の上は特に風が強いので、天気予報だけでなく風速もチェックしたほうがいい。風のおだやかな日を選べるかどうかで、体験がかなり変わる。
2. 道の駅が混雑する
週末の道の駅はかなりの混雑。駐車場待ちだけで時間をロスする。お土産は島の小さなお店で買うほうが、のんびりできるし、ユニークなものが見つかる。
3. 今治からの帰り道が遠い
尾道スタートで今治まで走ると、帰りのルート選びに悩む。同じ道を戻るか、高速で大回りするか。どちらにしてもそこそこ時間がかかる。わたしたちは今治から松山自動車道で戻ったけど、帰りの運転が長くて夫がちょっと疲れていた。片道ドライブ+帰りはフェリー、という手もあったなと後から思った。
📸 ドライブ中のベストフォトスポット
しまなみ海道で写真を撮るなら、ここがおすすめ。
亀老山展望公園(大島)
しまなみ海道随一のビュースポット。来島海峡大橋を一望できる、標高307メートルの展望台。駐車場から徒歩5分ほど。隈研吾設計の展望台は、地中に埋め込まれたようなデザインで、それ自体がかっこいい。夕暮れ時に行けたら最高だけど、わたしたちは昼すぎに行った。それでも十分きれい。
多々羅大橋と生口島の海岸
道の駅からも見えるけど、混雑を避けるなら海岸沿いの小道から。橋の全景と瀬戸内の島々を一緒に収められる。
大山祇神社の大楠
幹の太さと高さに圧倒される。広角レンズか、スマホの超広角モードで撮ると迫力が出る。
📋 基本情報
| ルート | しまなみ海道(西瀬戸自動車道)尾道IC〜今治IC |
|---|---|
| 全長 | 約60km |
| 所要時間 | 走るだけなら約1時間〜1時間半 / 寄り道込みで半日〜1日 |
| 通行料金 | 普通車ETC利用で約2,500円前後(全線・時期により変動) |
| 主な立ち寄り島 | 向島、因島、生口島、大三島、伯方島、大島 |
| おすすめシーズン | 春(3〜5月)、秋(9〜11月)が風もおだやかで走りやすい |
| レンタサイクル | 尾道・今治の各ターミナルで貸出あり(1日1,100円〜) |
| サイクリング所要時間 | 尾道〜今治の全線で約5〜8時間(体力による) |
🗺️ おすすめの寄り道プラン
しまなみ海道は全線走るだけなら1時間だけど、寄り道してこそ楽しい。わたしたちが実際にまわったルートをベースに、おすすめの寄り道プランを書いておく。
半日プラン(尾道→今治、3〜4時間)
尾道IC → 生口島でランチ(レモンパスタ) → 大三島で大山祇神社 → 来島海峡大橋 → 今治IC。最低限の寄り道で、しまなみの魅力をぎゅっと凝縮。
1日プラン(わたしたちのルート、7〜8時間)
尾道IC → 生口島でランチ+島ごと美術館 → 大三島で大山祇神社 → 伯方島で塩ソフト → 大島で亀老山展望公園 → 来島海峡大橋 → 今治で焼豚玉子飯。時間に余裕があれば、途中のビーチでのんびりする時間も入れたい。
1泊2日プラン
1日目は半分くらいまで走って、大三島か生口島で宿泊。翌日に残りを走る。島に泊まると、夕日と朝日の両方が見られる。時間に追われず、島のカフェでコーヒーを飲んだり、路地裏を散歩したりする余裕が生まれる。次はこのプランで来たいと、ふたりで話している。
🚗 まとめ ー また走りに行くか?
もちろん、行く。
次はサイクリングでリベンジしたい。風のおだやかな春の日を狙って、尾道から生口島までの区間を自転車で走って、レモンジェラートを食べて帰ってくる。それだけで最高の1日になるはず。
しまなみ海道のドライブは、特別な何かがあるわけじゃない。テーマパークも、すごいアトラクションもない。でも、青い海の上を走って、島で美味しいものを食べて、ふたりで「きれいだね」と言い合うだけの時間が、こんなに贅沢なものだとは思わなかった。
帰りの車のなかで、夫がぽつりと「いいドライブだったね」と言った。窓の外には夕焼けが広がっていて、瀬戸内の島々のシルエットが赤く染まっていた。
しまなみ海道は、ふたりの「またドライブ行こう」リストの上位に、確実に入った。

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